新型コロナ禍による社会の変化やインターネットの普及で、企業にとっては今やWEB集客は欠かせないものとなりました。実際にここ数年で力を入れはじめた会社が増えてきています。しかし、WEB上で集客を行うのは簡単なことではありません。
この記事ではWEB集客をはじめてはみたものの成果が上がっていない場合の改善方法についてご説明します。チェックリストで自社の状況を見つめ直しながら、改善すべき点を洗い出してみましょう。
目次
WEB集客の手法は活用できている?現状をチェック
WEB集客とはインターネットを使った集客のことで、さまざまな手法があります。とはいえ、ただホームページを作るだけ、広告を出してみるだけでは、なかなか効果は現れません。全体戦略を立て、それに応じて手法を選択することで成果につながりやすくなります。
すでに何らかのWEB集客に取り組まれていて改善をしたいとお考えなら、現状の把握が大切です。まずは自社で取り組んでいるWEB集客の手法が適正なものであるかどうか?チェックしてみましょう。「自社メディア系」「広告系」「紹介系」という3つの軸で捉えるとわかりやすいです。代表的な10の手法をこれらの軸で分類してチェックリストにまとめました。
WEB集客の代表的な10の手法チェックリスト
自社メディア系
広告系
紹介系
改善策が立てやすいのは、自社メディア系と広告系
上記のうち自社メディア系と広告系は比較的改善策が打ちやすいです。なぜならマーケティングの考え方に沿ったフレーム(戦略を立てるための枠組み)が確立されているため、それに当てはめて改善ポイントを見つければ対策をとれるからです。
次の項目では自社メディアと広告に共通するチェックポイントをご紹介します。ぜひ、チェックリストをもとに自社のホームページやSNS、広告運用を見直してみましょう。
なお、各WEB集客の手法について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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WEB集客の改善を始める前に8つのポイントをチェック
マーケティングにもとづいたフレームに従ってWEB集客の戦略を立てていくことで成功につながります。前述のとおり、改善する場合についてもフレームに当てはめて考えていくと成果につながりやすいです。
自社メディアや広告を改善する際には、次に紹介する8つの項目について、現状と照らし合わせながらチェックしてみましょう。各項目の詳細についてはチェックリストの後に詳しくご説明します。特にチェックが入れられなかった部分はしっかりと読んでいただければ幸いです。
WEB集客に欠かせない8つのチェックリスト
集客の目的は明確になっているか |
WEBで集客したあとの流れが設計できているか |
目標を数値で設定できているか |
ターゲット(ペルソナ)は明確になっているか |
ターゲットに合わせた手法を選択しているか |
継続して情報を発信しているか |
PDCAサイクルを回しているか |
効果が出るまでに必要な時間を理解しているか |
8つの項目のうちどれだけチェックがつけられたでしょうか?チェックがつけられなかった部分に関してはなぜチェックが入れられなかったか?をしっかりと見直し、改善点を見つけてみましょう。
1.集客の目的は明確になっているか
全体戦略を立てるためには目標を決めることが重要です。「WEB経由での問い合わせ件数を増やす」「相談会や体験会に参加してもらう」など、目的に応じてとるべき手法は変わってきます。WEB集客で得たい結果が明確になっていないと、WEB集客をはじめたとしても施策がブレてしまいます。
誤った手法を選択してしまったら、いくら頑張ったとしてもなかなか成果を得ることはできません。場合によってはコストの垂れ流しになってしまいます。自社の集客の目標を明確にすることで、はじめて次のステップに移れるのです。
2.WEBで集客したあとの流れが設計できているか
Web集客でなかなか成果が出ない原因として、目的に至る過程で何らかの設計上の問題が生じているケースが多いです。目標を達成するまでのストーリーを描き、そのために必要な流れを想定して施策を設計しておくことが重要です。
たとえば、「WEB経由の問い合わせ件数を増やす」という目標を設定したとしましょう。問い合わせ件数を増やすためには、「見込み客をWEBサイトに集める」「サイト内で問い合わせにつなげる」という流れが想定できます。
WEBサイトに見込み客を集めるためにはSEO対策やリスティング広告、SNS運用などの手段で人を呼び込むことが重要です。問い合わせを増加させるためにはLPの改善やDMの発送といった手段が考えられます。
顧客が購買に至るまでの流れを「カスタマージャーニー」といい、その流れに合う設計を「マーケティングファネル」と呼びます。これらをしっかりと確立しておきましょう。
3.目標を数値で設定できているか
目標の達成度合いがわかると圧倒的にWEB集客の改善がしやすくなります。目標をアクセス数や問い合わせ件数など、具体的な数値に落とし込みましょう。
4.ターゲット(ペルソナ)は明確になっているか
見込み客に届くべきメッセージが発信できていないことも、WEB集客の成果が現れない要因の一つです。集客したい相手を明確にすることで、効果的な言葉や情報が決まってきます。
まずは検索キーワードや発信すべき情報などを、見込み客の思考や行動から推測することが大切です。そのためにもターゲット(見込み客の層)をしっかりと設定し、さらにペルソナ(見込み客の具体的な人物像)を想定しましょう。これによって自ずと発信すべきメッセージや情報も定まってきます。
ターゲットが曖昧になっている場合、まずはここから見直しを行いましょう。
5.ターゲットに合わせた手法を選択しているか
ターゲットがどのように情報を探しているか?によって、とるべきWEB集客の手法も変わってきます。
たとえばBtoBの製造業の場合、SNSで情報を探すことはほぼありません。リスティング広告についてもキーワードが多様化しているため難しいです。一方で情報発信型のWEBサイトを制作している製造業者は少ないため、SEOに力を入れることで、しっかりとWEB上でポジションを取れる可能性があります。
一方、美容室や飲食店、エステなどの店舗ビジネスの場合はSNSと非常に相性がいいです。美しい写真や購買意欲を煽るメッセージを投稿することで、新規顧客の獲得につながります。また、リピーターの獲得にも最適です。
ターゲットの立場になって、どのような手段で自社の情報が届けられるのか?を考えてみましょう。
6.継続して情報を発信しているか
SEO対策やSNS運用は継続的な情報発信が必要不可欠です。ホームページやアカウントを作成して放置してしまっているという失敗事例もよくあります。定期的に更新しなければ、なかなか見込み客は集まりません。
更新作業ができる人材がいるか?社内のリソースを確認し、定期的に情報発信ができる体制を構築しましょう。人材がいない場合は外注するのも手です。
7.PDCAサイクルを回しているか
施策をしたら終わりではなかなか成果につながりません。PDCAサイクルを回すことで最適化が進み、結果が出てきます。
WEB集客のメリットはデータが得やすく、それにもとづいて改善策を立てられることです。この特性を活かさない手はありません。キーワード選定ツールやアクセス解析ツールなどを使い、定期的に効果測定を行い、それにもとづいて改善策を考えてみましょう。広告運用に関してもデータをもとに仮説を立てることで改善が可能です。
SEO対策やリスティング広告運用を外部に委託している場合は、データの分析とPDCAサイクルをしっかり回してくれているかどうかを確認しましょう。
8.効果が出るまでに必要な時間を理解しているか
WEB集客の施策はすぐに結果が出るものではありません。効果が出るまでに待たずに辞めてしまうのも、よくありがちな失敗例です。
前述のとおりWEB集客はデータが取れるのがメリットですが、データ収集にはある程度の期間が必要です。また、PDCAサイクルを回すことで徐々に効果が上がっていくので、どうしても時間はかかります。
比較的短期で効果が上がりやすいのはリスティング広告などの広告運用ですが、それでもデータ収集とPDCAサイクルを回す期間は必要です。SEO対策(コンテンツマーケティング)では年間単位の長期的な取り組みが必要となります。ただし、コンテンツが資産となるため、継続していけば安定的に効果を得られるはずです。
どの施策を行うにしても、効果が出るまでには数ヶ月~数年間は見ておく必要があります。
WEB集客の改善は、個別対策よりも全体の見直しから
自社の改善ポイントは明確になりましたか?WEB集客の改善を考えるときは、ともすると特定の手法のみに着目して改善策を決めたり、新しい手法の導入を検討したりしがちです。しかし、それでは全体最適から離れて隘路に入り込んでしまうことがあります。
実は我々も含め、WEBコンサルのプロはWEB集客を改善する際にはマーケティングの全体設計から見直しをはじめます。そのほうがより効果的な改善が見込まれるからです。
次の章ではCMSproが実際に行っている、WEB集客を改善するまでのステップをご紹介します。
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プロが実践する WEB集客の改善3つのステップ
SEO対策やリスティング広告といったWEB集客の手法は、いわば歯車のようなものです。目的に合わせていくつかの歯車を組み合わせ、それぞれが噛み合うことで、大きな成果につながります。そのため、プロがWEB集客の改善をはかる際には、全体を見てからどの歯車が故障しているのか?といったところから取り組みはじめるのです。
具体的には「状況整理をし、仮説を立てる」「手法を選択する」「PDCAサイクルを回す」という3つの流れで歯車が正しく噛み合うよう調整していきます。以下でそれぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
仮説を立てる
STEP1:自社の状況を整理し、戦略を立てる
自社の状況を整理する
まずは自社の状況を3C分析などのフレームを使って整理しましょう。3Cとは「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」のことです。どのような市場や顧客がターゲットになるのか?どんな競合があるのか?自社にはどのような強みがあるのか?を洗い出して整理しましょう。
戦略を立てる
上記が明らかになったら、それにもとづいてWEB集客の全体戦略を構築していきます。具体的には目標とそれを達成するまでのストーリーの設定、ペルソナの設定、ファネルとカスタマージャーニーの策定を行います。この戦略を立てることで手法が的確に選べるようになり、施策のブレが少なくなるのです。
STEP2:WEB集客の手法を決定し、実行する
手法を選択する
全体戦略が定まったら、ペルソナや目的に合わせて最適な手法を選択します。WEB集客の各種法の特徴を理解した上で、「自社で実現性があるかどうか?」「費用対効果はどうか?」という2点を基準に選びましょう。手法が決定したら具体的な目標数値(アクセス数や問い合わせの件数など)も設定します。
運用方法を決めて実行する
併せてメディアや広告をどのように運営していくか?も考える必要があります。たとえばSEO対策であればコンテンツ設計などが挙げられます。成果を上げるためにはスキルとリソースが必要となるので、運用チームを立ち上げるか担当者を決めて取り組む必要があります。もし人材がいない、ノウハウがないということであれば、外注も検討しましょう。
STEP3:PDCAサイクルを回し、改善を続ける
メディアを立ち上げっぱなし、施策をやりっぱなしでは、なかなか成果は上がりません。WEB集客を改善する上でもっとも重要なのはPDCAサイクルを回し続けることです。そのためには基準を設けて、それを達成しているかどうか?を定期的に検証する必要があります。以下でCMSproが実際に指標として取り入れている4つのチェックポイントをご紹介します。
① 必要な母数のアクセス数があるかどうか
WEB集客ではまず母数となるアクセス数を伸ばすことが重要となります。目的の行動(CV:コンバージョン)につながる率(CVR:コンバージョンレート)が一定であるとすれば、そもそも母数が少なければCVも少なくなってしまうからです。必要なアクセスが稼げているかどうかを確認します。
② 届けたい相手に正しく届いているか(ターゲティング)
集めたアクセスが情報を届けたい相手、つまりターゲットによるものかどうか?も重要です。もしターゲット以外からのアクセスが多い場合、改善を考える必要があります。なぜならWEB集客の目的はアクセスを集めるのではなく、見込み客を獲得することだからです。もし情報がターゲットに届いていないようであればキーワードの見直しなどの施策を行います。
③ 反響がズレていないか(CVRの改善)
ターゲットからのアクセスは集まっているが、狙った反響が得られない場合、CVRの改善が必要です。たとえば発注前提で相談したい人を集めるという目的にもとづいてCVを「無料相談への申し込み」を設定したにも関わらず、情報収集段階の人ばかりが集まってきている場合、ズレが生じていることになります。
情報の打ち出し方がズレていないか?見せ方はこれでいいのか?ストーリーが正しく設計されているか?を見直し、CVの質を上げていくための改善をしていくことが大切です。
④ 伸びしろがあるか
成果が出ていないと無理にでも改善をしようという考えに陥りがちですが、すでに効果が出きっているケースも少なくありません。たとえば検索ボリュームが少ないニッチなキーワードの場合、リスティング広告でいくら頑張っても母数が増えないことがあります。その手法でまだ伸びしろがあるかどうか?を考えましょう。
また、施策の視点をずらしてみるのも有効です。たとえば別のキーワードでSEO対策を行っていく、別のチャネルを開拓するといった方法が挙げられます。
(まとめ)
このように、全体を見て改善ポイントを洗い出して対策を行っていくと、手法が歯車のようにカッチリと噛み合って、集客がまわっていきます。ぜひ、プロの視点も取り入れて、今のWEB集客の現状を見直してみましょう。
WEB集客の改善に役立つお勧めのツール7選
最後に、私たちも使っている、WEB戦略を立てる際に役立つさまざまな解析ツールをご紹介します。無料で使えるものもありますので、ぜひこれらを活用して戦略を立ててみましょう。
7つのWEB集客お役立ちツール
Googleアナリティクス | Google Search Console |
PageSpeed Insights | Googleキーワードプランナー |
UberSuggest | ミエルカ ヒートマップ |
Ahrefs(エイチレフス) |
1.Googleアナリティクス
Google社が提供している無料のアクセス解析ツールです。アクセス数や人気のあるページ、サイトを訪れた人が検索したキーワードなどを調べることができます。アクセス解析ツールとしてはおそらくもっともポピュラーなもので、弊社も含め多くのプロが活用しています。
2.Google Search Console
こちらもGoogle社が提供している無料サイト解析ツールです。サイト流入元の検索キーワードの表示回数やクリック数(アクセス数)、サイトの掲載順位など、さまざまなデータを把握することができます。サイトを制作する際には、上記のGoogleアナリティクスと併せてサイトに設置することが多いです。
3.PageSpeed Insights
Googleは「コアウェブバイタル」といって、サイトが表示されるまでの速度や重さも検索順位を決める評価基準としています。PageSpeed InsightsはWebサイトやその中に存在する各ページの読み込み速度を測定できるツールです。調べたいサイトやページのURLを入力することで、表示速度や改善ポイントを分析することができます。
4.Googleキーワードプランナー
Google社が提供する無料のキーワード調査ツールです。キーワードの検索ボリューム(どれくらいそのキーワードが検索されているか?)や競合の度合いを調べることができます。SEO対策やリスティング広告でキーワードを選定する際に役立つツールです。
5.UberSuggest
Neil Patel社が提供している無料のSEOツールです。自社のWEBサイトに関連している検索キーワードを調べることができ、競合サイトの関連キーワードやトラフィックに関しても調査できるので、3C分析にも大いに役立ちます。
6.ミエルカ ヒートマップ
ヒートマップを用いたWEBサイトの解析ツールです。訪問者がどのようにページを閲覧しているか?どの部分に注目しているか?をページ上にヒートマップで可視化することができます。また、クリック数や滞在時間などのデータも取得可能です。
7.Ahrefs(エイチレフス)
SEOツールの一つで、自社サイトや競合サイトのバックリンクやトラフィックを調べることができます。キーワード調査やコンテンツ分析も可能です。
まとめ
WEB集客でいまいち成果が上がっていない、改善ポイントがわからないという方は、マーケティングの考え方に沿って全体の戦略や方法を見直してみましょう。
もっとも大切なのは「自社のWEB集客の目的に合った手法選び」と「PDCAサイクルを回して改善し続ける」という2点です。長期的な視野でWEB集客を取り組む体制を整え、最適な施策を選んで実行しながら改善を続けていくことで成功につながります。
編集者プロフィール

松井 翔WEBコンサルタント
2018年、CMSproを運営するリンヤ株式会社に入社。
運用チーム(現マーケティングチーム)にて、WEB集客戦略立案の上流工程からSEO対策・リスティング広告の施策実行までを従事。
製造・不動産・金融・医療・経営コンサルタント・物流倉庫など幅広い業種のWEBコンサルティングを経験。
主な成果
- SEO対策開始1年半で売上3倍を達成
- SEO対策開始1年で月間問合せ数12倍
- SEO対策開始1年で月間アクセス数4.2倍を達成
- SEO対策開始6ヵ月でビックキーワード1位を獲得
- リスティング広告運用6ヶ月でROAS:210%を達成