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誰もが一度は体感する〜コンコルド効果がもたらす感情心理〜【マーケティング心理学】

2022年09月02日(金) 最終更新日:2024年07月21日(日) マーケティング心理学

ギャンブルやゲームなどで損をするとわかっているのについついお金を払ってしまう。
そんな経験はありませんか?こうした心理現象のことを「コンコルド効果」と言います。

今回はコンコルド効果について身近な例も交えてわかりやすく解説。
マーケティングでの応用方法についてもご説明します。

目次

コンコルド効果とは

コンコルドとはイギリスとフランスが1960~70年代に共同開発した旅客機です。
音速の2倍であるマッハ2で飛行ができ、従来の旅客機では7時間かかっていたロンドン-ニューヨーク間を最短3時間で結ぶことができる、夢のような飛行機でした。

一方で1機あたりの定員が少ない、燃費が悪い、環境への影響が大きい、騒音が大きいなどの問題があり、開発段階で赤字になることがわかっていました
それでも両国の威信がかかったプロジェクトであり、それまで多額の費用を投資してきて引くに引けず、開発が継続されて実機が完成
1975年に航空会社で運航がスタートしました。
しかし、やはり開発会社は大きな負債を抱え、2003年に退役を迎えてしまいました。

この一連の流れになぞられ、損をすることがわかっていても投資を続けてしまうことをコンコルド効果と呼ぶようになったのです
「コンコルド錯誤」「コンコルド誤謬」とも呼ばれます。
また、同じような意味合いの言葉として「サンクコスト効果」というものもあります。

コンコルド効果と同義のサンクコスト効果

「サンクコスト」とはどれだけ努力しても取り返すことができない損失のことを指します。
金銭はもちろん、時間、労力の損失もこれに含まれます
こうしたサンクコストを取り返そうとして経済活動を継続させてしまうことを「サンクコスト効果」と言います。

サンクコスト効果あるいはコンコルド効果から抜け出すためには、サンクコストを諦めるしかありません
損失が出たことを受け入れて投資を止める、いわゆる「損切り」を行うことで、新たな損失が発生するのを防ぐことができます。
一度リセットして、また新たに投資をすることで、今度は利益が出るかもしれません。

しかし、実際には「これまでの投資を無駄にしたくない」「損失分をなんとかして取り返したい」「続けていればいつか好転するかも」といった心理が働き、サンクコスト効果やコンコルド効果から脱出できるのは簡単ではありません
多くの人がサンクコストを支払い続けるようになるのです。

身近にあるコンコルド効果の事例をシーン別にご紹介!

英仏が共同開発した超音速旅客機が由来となっているコンコルド効果。
スケールが大きい話に思えますが、事業や投資といったビジネスシーンはもちろん、恋愛や趣味といった日常シーンなど、実は私たちの身近なところにあふれています

実は自覚していないだけで、今現在もコンコルド効果によって損することがわかっていても続けてしまっていることがあるかもしれません。

ここからは、私たちに身近に起こり得るコンコルド効果の事例をみていきましょう。

日常シーンでの事例

まずは日常生活でよくあるコンコルド効果の事例についてご紹介します。
投資や購買といった金銭絡みの行為はもちろん、趣味や恋愛など幅広い場面でコンコルド効果が発生します。
また、前述のとおりサンクコストはお金だけではありません。
時間や労力も対象です。

一度広い視野をもって日常生活を見つめ直してみることで、無駄な支出を抑えられ、時間を有効に使うことができ、今よりも生活の質がアップするかもしれません
特に以下の事例で「あるある!」と思われた方は、ぜひ「このまま続けてもいいのか?」を考えてみてください。

【case1】恋愛

「もう少ししたら振り向いてくれるかも」と好きな人にアタックし続けたり、「この人といっしょにいても無駄だ」と思いつつ交際し続けたりといった経験はありませんか?

恋愛は投資に近い要素があります。
デートをしたり、プレゼントをしたり、好きな人に振り向いてもらうために服装や美容に気を遣ったり、さまざまな労力やコストを費やします
交際や結婚というゴールにたどり着ければいいのですが、結果が出ない場合もあるかもしれません。
また、交際や結婚したとしても別れてしまう可能性があります。

恋愛では成就しないことがわかっているにもかかわらず、これまでの手間や出費が惜しくなってついついアタックや交際を続けてしまうコンコルド効果がよく生じます。

【case2】ギャンブル

ギャンブルはコンコルド効果が顕著に現れます。
パチンコやスロット、競馬をされている方なら、負けた後に「次こそ負けた分を取り返す!」と思って続けた挙げ句、大負けしてしまった経験があるかもしれません。
これが典型的なコンコルド効果です。

もちろん、冷静に考えればギャンブルで負けた分を取り返すのは容易ではないことがわかります。
にも関わらず、コンコルド効果に囚われて賭け続けて損失がどんどん膨れ上がってしまうというケースが非常に多いです。

負けても「次こそは……」、また負けても「次こそは……」と悪循環に陥ると、取り返しがつかないことにもなりかねません。

【case3】ソシャゲ(ソーシャルゲーム)の課金

近年ではソシャゲで課金をし続けて困窮したり破産したりといったケースが社会問題となっています。
中には子どもが課金し続けて取り返しがつかないことになったケースもあります。

特にコンコルド効果が発生しやすいのが「ガチャ」です。
ガチャとはお金を支払うことでアイテムを購入できる仕組みであり、どんなアイテムが貰えるかはわかりません。
「次こそは自分が欲しかったアイテムが出るだろう」「なんとしてもレアアイテムを手に入れたい」という心理が働き、ついついガチャをし続けてしまう傾向があります

また、ゲームにはこれまでやり続けてきた手間や時間というサンクコストも多く発生します。
「今までの手間を無駄にしたくない」というコンコルド効果が働きます

ビジネスシーンでの事例

ここからはビジネスシーンにおけるコンコルド効果について見ていきましょう。
恋愛やギャンブル、ソシャゲといった日常生活ものめり込みすぎると危険ですが、仕事においても同様です。特にビジネスの場合は会社や従業員、取引先や顧客など、広範囲にさまざまな影響を与えかねないので注意しなければなりません。

【case4】サブスクサービス

最近では月単位あるいは年単位で利用料を支払ってサービスやツールを利用できる「サブスク」という形態をとったビジネスモデルが増えてきました。
買い切りではないので低コストからはじめられ、好きなときに止めることができるため、使いようによっては非常に便利です。

一方で、サブスクサービスが損を招くこともあります。
それほど活用していないのにも関わらず、「せっかく申し込んだんだから」「もう少しで投資分を回収できるから」という心理が働き、解約に踏み切れないケースも少なくありません
手軽に利用できる分、サブスクサービスを利用しすぎると、毎月あるいは毎年の支出が大きく膨らんでしまう可能性もあります。

「有効に活用できているか?」「利用料分のリターンが得られているか?」を定期的に検討してサービスの利用を見直してみることが大切です

【case5】新規事業

冒頭でご紹介したコンコルドの開発と同じような事態が、多くの企業で生じています。

新規事業を立ち上げるのには非常に大きなコストと手間がかかります。
従業員や取引先、世間への手前もあり、なかなか引くに引けません。
たしかに事業を立ち上げてもすぐに利益が出るとは限らず、赤字が続くこともあります。

しかし、明らかな不採算事業でも「せっかく初期投資をしたのだから」「もうすこししたら黒字に転換できるはず」というコンコルド効果によって適切に損切りができず、結局破産や撤退に追い込まれるケースも多いのです

コンコルド効果のマーケティング活用法

損をすることがわかっていてもついつい続けてしまうコンコルド効果は非常に恐ろしいものです。
しかし、これを利用すれば大きな利益をあげられる可能性があります
もちろん、顧客に損をさせるようなビジネスは行うべきではありませんが、商品やサービスを売る際に少しだけコンコルド効果を応用すれば、購買につながりやすくなります

ここからはコンコルド効果をマーケティングに活用する方法について見ていきましょう。

タイムセール

「本日◯%引き」「◯月◯日まで限定」というように、タイムセールを行うことで、「今買っておかないと損をするかも」「せっかく待っていたんだから今買わなきゃ」という心理を働かせて購買につながる可能性があります

定期的にタイムセールを行うことで、顧客が「タイムセールが開催されるまで待つ」というサンクコストを払うことになり、購買率がアップするという効果も期待できます。

特に在庫を処分したいとき、店舗全体の購買率を向上させたいときに効果的です。

スタンプカード

店舗ビジネスの場合は一定のスタンプを集めると特典がもらえるスタンプカードも有効です。
スタンプカードを作って渡すことで、「最後まで集めて特典をもらわなければもったいない」というコンコルド効果を生じさせ、リピート率のアップにつながります

Webの場合は「◯回利用したらポイントアップ」「◯ヶ月利用で割引」というように利用回数などで特典を設定することで、やはりリピート効果が期待できます

不確定要素を入れたサービス

ソシャゲのガチャのように、不確定要素を商品やサービスに盛り込むことで購買率アップにつながります。
たとえばお正月に恒例となっている福袋などは典型です。
対象商品に魅力的な商品を入れることで、「当たるかもしれない」「いいものが入っているかもしれない」と思わせることができます
目的の商品が欲しいがために複数購入する人も少なくありません。

購入したら福引や抽選に参加できる特典をつけるといった施策もコンコルド効果を生じさせて購買につながる可能性があります

コンコルド効果はビジネスをはじめ恋愛やギャンブルなど、私たちの身の回りのさまざまなシーンで生じています。
コンコルド効果に囚われたままだと適切な損切りができず、身を滅ぼすことにもなりかねませんので注意が必要です

一方で、マーケティングにコンコルド効果を応用することで、購買率やリピート率のアップにつながる可能性があるため、施策に取り入れてみることをおすすめします
ただし、悪用は厳禁です。
自社の魅力的な商品やサービスを知ってもらう入り口として、活用してみましょう。

谷口 翔太

監修者谷口 翔太リンヤ株式会社 代表取締役

2007年「リンヤ株式会社」を創業。WEBマーケティング歴16年。草創期より一貫してWEBマーケティング の専門家として、多くの企業の収益向上に貢献。これまでに手がけた企業は2902社。豊富な経験を活かし、SEO対策を中心とした効果的なWEB施策により集客最大化を図る。HP制作から運用まで顧客企業をトータルでサポートしている。

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