帝国データバンク『医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)』によると、医療機関(病院・診療所・歯科医院)の休廃業・解散が急増しているそうです。中でも顕著だったのが診療所で、過去最多の閉業数となりました。
その一方で、もちろん、開業するクリニックもあります。厚生労働省「医療施設動態調査(令和6年5月末概数)」によると、一般診療所の施設数は106施設の増加となっています。クリニックの生き残りは、今後ますます熾烈化していくと言わざるを得ません。
しかし、集患のための広告宣伝、患者様からの口コミ促進、ネットによる情報発信を積極的に行っていけば、周囲に競合の多いクリニックにも十分に勝算はあります。この記事では、クリニックに特化したHPを使った集患方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
編著者森山
ホームページ制作から運用(SEO対策、MEO対策、WEB広告)の経験あり。 クリニックに限らず、幅広い業界におけるWEB集客のノウハウを元に、お客様の集客貢献を目指します。
集客のための4つの主なHP活用方法
【Google検索画面のイメージ】
では、ホームページさえ作っておけば安心でしょうか?そうとは言えません。いくら腕の良いドクターが立派なクリニックを開業したとしても、地域の患者様がその存在を知らなければ来院されません。同様に、どんなに費用をかけてHPを作ったとしても、そこにたどり着く人がいなければ宝の持ち腐れです。せっかく作ったHPを多くの人に見てもらい、集患へと繋げるには、以下の4つの方法があります。
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活用方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
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1. リスティング広告 |
検索エンジンの検索キーワードに基づくクリック課金型広告 |
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2. Googleビジネスプロフィール |
Googleが無料で提供しているビジネス情報を発信できるサービス |
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3. 医療機関ポータルサイト |
医療機関に特化した集客手段 |
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4. SEO対策 |
自然検索で上位表示を目指す |
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1.リスティング広告
例えば、GoogleやYahoo!JAPANといった検索エンジンで、お住まいの近くの駅名とお店の種類などを入力すると、スポンサーという文字とともに表示される店舗がトップに出てくるのにお気づきでしょう。これがリスティング広告(検索連動型広告)です。トップに表示されるので、検索したユーザーの目につきやすく、サイトへの流入を獲得できます。
2.Googleビジネスプロフィール
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、Googleが無料で提供しているビジネス情報を発信できるサービスです。Googleアカウントを取得済みでしたら、Googleビジネスプロフィールにログインしてオーナー登録すると、あなたのクリニックの所在地、写真、営業時間、電話番号などの管理が可能になります。
Google検索ではGoogleビジネスプロフィールの情報が、地図情報と合わせて他の検索結果より上位に表示されます。これにより、多くのユーザーにクリニックを認知されやすくなり、サイトへの流入を獲得できます。
3.医療機関ポータルサイト
病院やクリニックを探そうと思っている人にとって、医療機関のポータルサイトは大変便利なツールです。例えば、自分が住んでいる区市町村や最寄駅、診療科目などを入力すると、ニーズに合った病院やクリニックの一覧が連絡先・所在地・診療時間などと共に表示されるからです。ポータルサイトからユーザーのサイトへの流入に繋がります。
ポータルサイトによっては、利用者の口コミや評判なども掲載されていることもあります。有名な医療機関ポータルサイトとしては、「マイクリニック」「カルー」「EPARK.」などがあります。
4.SEO対策
SEO対策とは、平たく言えば、GoogleやYahoo!JAPANといった検索エンジンで検索した時に、あなたのクリニックのHPがなるべく上位に表示されるように対策することです。主にコラム記事などのコンテンツを追加します。
検索上位に表示されれば、あなたのクリニック名、HPに掲載されている情報のタイトルなどがクリックされやすく、HPにアクセスしてくれる人も増えます。
例えば、ご自身のクリニックに集患したい人がどういう方か、その方がどんなキーワードであなたのクリニックを検索するか考えて、HPにそのキーワードを含む(=検索意図に応える)情報を掲載するというのもSEO対策のひとつです。
【活用方法別】クリニックの集客に向いている理由
集客のための主なWEBメディア活用方法として、「リスティング広告」「Googleビジネスプロフィール」「ポータルサイト」「SEO対策」の4つをご紹介してきました。いずれも自サイトへの流入を獲得でき、クリニックへの集患に有用な方法です。ここでは、なぜその方法がおすすめなのか?その理由を解説していきます。
1.即効性の高いリスティング広告
リスティング広告の長所は、何と言っても確実に検索エンジンの上位に掲載されるということでしょう。有料とはなりますが、広告がクリックされたときに初めて費用が発生する仕組みのため、費用対効果が高いと言われます。
クリニックを探している人にダイレクトに訴求でき、即効性のあるコンバージョン(問い合わせや集患)が期待できます。
2.無料で使えるGoogleビジネスプロフィールの活用
Googleビジネスプロフィールの最たるメリットと言えば、無料でMEO対策(GoogleマップやYAHOO!地図に表示されることで集客につなげる施策)ができることでしょう。マップ上で検索されるので来院に繋げやすく、またユーザーからの口コミで評判を得ることもできます。
ただし、費用を掛けずにご自身で行おうと思ったら、情報を更新したり、ユーザーの口コミや問い合わせに対応したりと、最低限の手間は必要になります。
3.認知度を高めるポータルサイトへの掲載
ポータル(Portal)とは、英語で「入口」「玄関」を意味する言葉です。その名の通り、医療機関のポータルサイトはクリニックの自社HPへの入口として機能します。月間利用者数1,000万人以上のクリニックポータルサイトもあり、登録しておくと、自社HPよりも幅広い人々にアプローチできるのがメリットと言えるでしょう。
既存のクリニックポータルサイトを利用する場合、検索エンジンで上位表示されているポータルサイトなら、より多くの自社HPへの流入を期待できるでしょう。クリニックの知名度アップも図れ、予約数の増加に繋げられます。
ポータルサイトに自クリニックのHPが被リンクされれば、外部SEO対策ができ、サイトの評価を高められます。まず無料のポータルサイトを試して外部SEO 対策を始め、集患の効果を実感してから、有料へと移行してもいいでしょう。
外部SEO対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
4.費用をかけずにサイト流入を増やすSEO対策
自社HPがあるなら、SEO対策は欠かすことのできない施策と言えます。コラム記事などのコンテンツが増えることで、自サイトの評価を高められ、広告では得られない価値を加えることができます。
また、SEO対策を行うことで検索エンジンの上位に表示されれば、自サイトへのアクセスが増え、クリニックの知名度も向上、集患に繋がります。自分でやる限りはお金がかからないこともメリットと言えるでしょう。
SEO対策が向いていない理由も抑えておこう
SEO対策は集客には欠かせませんが、クリニックの集患には向いていない側面もあります。まず、自クリニックに関連する分野において、ユーザーにとって参考になるような情報を定期的に記事としてあげ続けなければなりません。さらに、数本上げたら効果が出るというわけではなく、他の施策より圧倒的に手間や時間を必要とするからです。
【施策別】具体的な施策イメージと参考情報まとめ
クリニックのWEB集客で特におすすめしたい①リスティング広告、②Googleビジネスプロフィール、③ポータルサイトを使う際に役立つ情報をまとめました。ご利用の際に参考にしてみてください。
①リスティング広告について
SEO対策とリスティング広告、どちらも費用を掛けて専門業者に依頼するのであれば、すぐに結果と効果が目に見えて分かるのはリスティング広告のほうです。
では、リスティング広告をするのであれば、その予算の組み方の目安となる事例をご紹介しましょう。
検索キーワードの検索需要とクリック単価は?
リスティング広告はクリック課金制です。「クリック単価×クリック数」でクリック課金の総費用が決まります。支払いは広告がクリックされたときのみ発生し、広告が掲載されただけでは費用は発生しません。
そのため、クリック単価にもよりますが、1日の予算は数千円から始めることも可能です。
Google広告のキーワードプランナーを使って調べれば、下記のように検索需要とクリック単価がわかります。ここでは港区の皮膚科を想定した場合の例を紹介します。
EX.港区にある皮膚科クリニックで想定されるキーワードリスト
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キーワード | 検索需要 | クリック単価 |
---|---|---|
皮膚科 | 14,800 | 204~539円 |
アトピー性皮膚炎 | 720 | 46~112円 |
ニキビ | 720 | 189~718円 |
湿疹 | 590 | ー |
皮膚科今やってる | 10 | ー |
※:上記検索需要はGoogleキーワードプランナーを使用した数値のため、あくまで推定値
※1:東京都港区のみでの検索需要
広告予算をどう決める?
ユーザーがどれくらい入ってくれば、CV(受診予約)が発生するのか、広告を出す前に把握でき、広告予算を立てる目安になります。上記のGoogle広告に表示されたクリック単価から、必要な広告額がわかります。
例えばアトピー性皮膚炎の場合、クリック単価を80円、CVR※を業界によって差はありますが、ここではよく言われる2%に設定します。
※CVR‥Webサイト訪問者のうち、CVに至った件数の割合のこと
【月のコンバージョン目標を20CVに設定する場合】
20(CV)=1000(クリック数)×2%(CVR)
1000(クリック数)×80円(クリック単価)=80,000円
20CV獲得するためには、80,000円が必要になります。
【予算20万円で運用した場合】
20万円÷80円(クリック単価)=2500(クリック数)
2500×2%=50(CV)
予算20万円だと50CV獲得が見込めます。
※上記はあくまで推定値のため、広告の設定や広告をクリックして遷移した先のサイトの内容により、結果は変わってきます
②GBPで口コミを集める方法と注意点
クリニック のWEB集客方法として、リスティング広告と同時に行っておきたいのがGoogleビジネスプロフィール(GBP)の活用です。必ずオーナー登録して、自クリニックの情報を発信しておきましょう。
Google検索やGoogleマップからのGoogleビジネスプロフィールへの口コミは、検索エンジンからの評価にも大きな影響を与えます。口コミの数が多いと、多くのユーザーに支持されているとみなされ、評判や知名度が高いと評価され、集患に繋がります。
口コミを増やすには、以下のような方法があります。
- 来院された患者様や付き添い者に直接お願いする
- 受付に口コミ用のQRコードを設置する
- アンケート用紙に口コミの依頼文を掲載する
また、ネガティブな口コミが書き込まれることもありますが、悪質な口コミはビジネスオーナーとしてGoogleに削除依頼することができます。ただし、Googleが悪質と認めなければ削除されません。
「受付の態度に不満」「待ち時間が長い」などといったクレームに対しては、「貴重なご意見ありがとうございます。今後ご迷惑が掛からないよう対処してまいります」といった誠実な対応をすることが大切です。誠意を見せることで、かえって信頼感や好感度が増すことも多くあります。
③ポータルサイトへの掲載依頼方法
クリニックポータルサイトへの登録も、併せて検討をおすすめします。以下に主な医療用ポータルサイト運営会社の公式サイトURLを掲載いたしました。比較検討やお申し込みにお役立てください。
- My Clinic/マイクリニック(http://www.myclinicexpress.jp/)
- caloo/カルー(https://caloo.co.jp/)
- EPARK/イーパーク(https://epark.co.jp/)
- HOSPITA.JP/ホスピタ(https://www.hospita.jp/)
- 病院なび(https://byoinnavi.jp/)
- 患者の気持ち(https://www.kanja.jp/)
クリニックのWEB集患にお困りの方はCMSproにご相談ください!
クリニックのWEB集患方法として、「リスティング広告」「Googleビジネスプロフィール」「ポータルサイト」「SEO対策」の4つの方法を紹介しました。
WEB集客のプロであるCMSproでは、今回ご紹介した4つのWEB集客すべてにノウハウと実績を積んでいます。クリニックの集患で特に効果の高いリスティング広告の運用代行から、時間と労力のかかるSEO対策まで、まとめておまかせください。
2900件以上の実績があり、病院やクリニックについても多数サポートしてまいりました。WEB集客についてなら、メリットだけでなく、デメリットについても詳しくご説明することができますので、ぜひ私たちにご相談ください。
監修者谷口 翔太リンヤ株式会社 代表取締役
2007年「リンヤ株式会社」を創業。WEBマーケティング歴16年。草創期より一貫してWEBマーケティング の専門家として、多くの企業の収益向上に貢献。これまでに手がけた企業は2902社。豊富な経験を活かし、SEO対策を中心とした効果的なWEB施策により集客最大化を図る。HP制作から運用まで顧客企業をトータルでサポートしている。