医療分野は「命とお金」に関わる情報を取り扱っています。そのため正確で信頼性の高い情報を提供する必要があり、医療SEOは難しいと考えるかもしれません。
しかし適切にSEO対策を行うことで、より多くの患者にホームページを見てもらい、新規の来院につなげていくことができます。本コラムでは、初心者でも成果を出すことができSEOで集客できる医療SEOのはじめ方を解説していきます。
目次
この記事の伝えたいこと
- 医療分野でSEOを行うことにより、「集患(病院やクリニックが新規の患者を獲得するための活動)の獲得・予約数のアップ」「広告費を抑えた安定した集客」「権威性や信頼性のブランディングの向上」を実現します。
- 医療SEOで上位表示するためには、一般的なホームページよりもYMYL(人のお金や命に影響を与える情報)とE-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthinessで優れているか)に対しての知識が必要になります。
- 医療SEOで実践できる対策には、「内部対策」「外部対策」「コンテンツSEO」「ローカルSEO」の4つがあります。
- 医療業界でSEOを始めるためには、「キーワード選定」「サイト構造のチェック」「コンテンツの設計と発信」「MEOの設定・口コミ活用」「定期的な分析と改善」のステップで実行していきましょう。
- 医療SEOには、「医療広告ガイドラインに違反しない」「誤解を与える表現に注意する」「専門性を出しても「患者目線」を忘れない」といった注意すべきポイントがあります。
SEOって難しそう…?でも医療こそチャンスあり!
「医療系のSEOは難しそう」「SEOは、医療とは違う業界の話じゃない」という印象を抱いている人は多いかもしれません。しかし、医療SEOこそ狙い目であり、広告費を抑えて安定した集客が可能です。そのため、集患(病院やクリニックが新規の患者を獲得するための活動)の獲得や予約数アップに直結した施策です。
医療機関の権威性や信頼性のブランディングにもつながるSEOでチャンスを掴んでみませんか。
検索需要はあるけれど、広告単価は低い?!
医療関連の月間検索数を調べてみると、検索数は多いもののクリック単価が低いことがわかり、ブルーオーシャンの今が狙い目というわけです。
たとえば「治し方」というキーワードを含むサジェストキーワードを月間検索数の多い順に並べてみると、「すぐに治したい」については、意識を失うほどの重症ではないキーワードや、自分で対処できそうな症状なのか、病院に行くべき症状なのか悩むようなキーワードが多く表示されています。
以下、よく検索されているキーワードと月間検索数、クリック単価の一覧です。
キーワード | 月間検索数 | CPC($) |
---|---|---|
坐骨神経痛 治し方 ためして ガッテン | 40,500 | 0.69 |
ぎっくり腰 治し方 | 40,500 | 0.89 |
逆流性食道炎 治し方 自力 | 33,100 | 0.65 |
声が出ない 治し方 即効 | 27,100 | 0.24 |
ぎっくり腰 治し方 即効 | 27,100 | 0.9 |
逆流性 食道炎 治し方 | 22,200 | 0.52 |
ぼうこえん 治し方 | 22,200 | 0.6 |
耳鳴り 治し方 簡単 | 18,100 | 0.74 |
喉のイガイガ 治し方 即効 | 18,100 | 0.19 |
いびき 治し方 即効 | 18,100 | 1.15 |
爪周囲炎 治し方 自力 | 18,100 | 3.92 |
鼻 づまり 治し方 | 18,100 | 0.39 |
寝違え 治し方 すぐ | 14,800 | 0.72 |
貧血 治し方 すぐ | 14,800 | 2.03 |
二日酔い 治し方 速攻 | 14,800 | 0.28 |
出典:ラッコキーワード
医療分野でSEOを行うメリットとは?
医療分野でSEOを行うことにより、以下のようなメリットを得ることができます。
- 新規患者の獲得数・予約数のアップ
- 広告費を抑えた安定した集客
- 権威性や信頼性のブランディングの向上
①新患の獲得・予約数アップに直結
最近では、新たな医療機関を探すときに多くの人たちがインターネットで検索しています。そのため、検索結果の上位に表示される医療機関ほど、新規で受診をしたい患者の目にとまりやすくなり、新患の獲得数や予約数が増加するようになります。医療機関がSEOを行うことが売り上げに直結するようになるのです。
②広告費を抑えて安定した集客が可能
従来、医療機関が新規の患者を集めるためには駅看板やテレビ・雑誌などの広告を出稿して広告費をかける必要がありました。しかしインターネット広告であれば、低い単価で医療SEOを出すことができ、広告費用を抑えられる可能性があります。
インターネット広告でもリスティング広告の効果は広告を出稿している間だけの一時的なものとなりますが、SEOであればSEO対策をし続けることで安定した集患が可能となります。
③権威性や信頼性のブランディングにもつながる
Googleなどの検索エンジンで上位表示されているということは、質の高いコンテンツが掲載されている証になります。それが医療機関の権威性や信頼性のブランディングにもつながるようになり、医療機関の信頼感が高まっていきます。結果として、集患が促進されることになるのです。
医療SEOの基礎知識:YMYLとE-E-A-Tとは?
医療SEOで上位表示するためには、一般的なホームページよりもYMYLとE-E-A-Tに対しての知識が必要になってきます。以下で、新患の獲得や予約数のアップにつながるYMYLとE-E-A-Tについての基礎知識を解説します。
YMYLとは?「命とお金」に関わる情報の扱い
Googleでは、ユーザーにメリットをもたらすことを主な目的として作成された有用で信頼できる情報を検索結果の上位に掲載できるように設計されています。
その中でYMYLという「Your Money or Your Life」の頭文字からとった略語があります。人のお金や命に影響を与える情報を扱う分野のことであり、医療はとくにYMYLに関わってくるのです。
もし誤った医療コンテンツが掲載されていると、人のお金に影響を与えるだけでなく命に危険が及ぶ可能性がありますので、GoogleではYMYLに関するコンテンツについて厳しく評価しているのです。
Googleが重視するE-E-A-Tの意味
Googleでは、ユーザーに最も役に立つと判断されたコンテンツに高い優先順位を付けています。どのコンテンツが、Experience(エクスペリエンス)、Expertise(高い専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)で優れているかを判断するための要素の組み合わせを特定しており、その頭文字をとってE-E-A-Tと呼ばれています。
E-E-A-Tが優れたYMYLコンテンツをGoogleでは特に重視しています。すべてのSEO対策でE-E-A-Tは重視されていますが、YMYLに当たる医療SEOにおいては、特に重視されているというわけです。
なぜ医療サイトは“信頼性”が何よりも重要なのか
以下3つの理由から、医療サイトには「信頼性」が何よりも重要となります。
- 人々の健康と生命に関わる情報だから
- 専門性が高く、一般的には判断が難しい情報だから
- 不正確な情報がユーザーの健康被害や経済的損失を招く可能性があるから
GoogleはYMYL分野においてE-E-A-Tを重視していますので、Googleで上位表示されている医療サイトは、大手の病院やクリニック、専門医が運営しているホームページなど、E-E-A-Tの高いサイトが多くなっています。
医療SEOの種類と戦略:実践できる4つの対策
YMYLやE-E-A-Tを念頭に置きながら、実践できるSEO対策は以下のような4種類があります。
- 内部対策
- 外部対策
- コンテンツSEO
- ローカルSEO
ここからは、上記4つの医療SEOの内容と戦略を解説します。
①サイトの構造を整える!内部対策
自社のホームページやウェブページが検索エンジンで正確にインデックスされて素早くクロールされていることを前提として、検索ランキングを高めるためにテーマ性を正しく評価させるために、上位表示を目指す内部で行う施策のことを内部対策と呼んでいます。
その内部対策はユーザーファーストなコンテンツ作りが大切となりますが、それらのコンテンツが検索エンジンに対しても優しくわかりやすい検索エンジンフレンドリーにするために、以下のステップに対して最適化する必要があります。
- 検索エンジンが検索結果を表示するために使われるクローラー(インターネット上のホームページを自動的に巡回し、情報を収集するプログラム)がウェブページをクロールし、テキスト情報を読み取る
- クロールしたウェブページをインデックスする
- インデックスされたページの中から検索キーワードとの関連性の高いコンテンツをランキング表示する
②信頼されるリンクを得る!外部対策
外部からのリンクやSNS上でシェアすることにより、検索エンジンから評価してもらうことを外部対策と呼んでいます。
外部対策では、外部ホームページから自社ホームページへのリンクが張られている被リンクが多いほど評価されます。この被リンクされているホームページは、検索エンジンに高品質なホームページとして認識されます。とくに関連性が高いホームページからのリンクや、権威性があるホームページからのリンク、自発的に張られたナチュラルリンクは効果的なリンクになります。
③患者に寄り添う情報発信!コンテンツSEO
検索するユーザーにとって役に立つコンテンツをまとめてあり、主に検索エンジン経由で訪問してもらうことをコンテンツSEOと呼んでいます。
コンテンツSEOは質の高いコンテンツを制作することで検索上位を目指すものでありオウンドメディアと相性が高く、コンテンツを内製化することで人件費以外は費用をかけずに集客力を高めることができます。
④Googleマップで地元から選ばれる!ローカルSEO
特定の地域でビジネスを展開している企業や組織が、Google検索やGoogleマップで上位表示されるように行うSEO対策のことをローカルSEOと呼んでいます。マップエンジン最適化と呼ばれているMEO(Map Engine Optimization)と言われることもあります。
このローカルSEOは、その医療機関が存在している地域に特化した集客ができるのが大きなメリットです。しかもローカルSEOの競合相手は特定の地域内に存在する同業他社に限られているために、競合相手も少なく上位表示を狙いやすくなっています。
また、SEOでは3位以内が上位表示の基準ですが、ローカルSEOであれば10位以内に入れば上位表示の許容範囲と言われています。このように上位表示の基準が低いところもメリットといえます。
医療業界でSEOを始めるための基本ステップ
医療業界でSEOを始めるためには、以下のステップで実行していきましょう。
- キーワード選定
- サイト構造のチェック
- コンテンツの設計と発信
- MEOの設定・口コミ活用
- 定期的な分析と改善
この順番でSEO対策を行うことで医療SEOを成功に導くことができるようになります。
①キーワード選定(地域名+診療科など)
「地域名+診療科」など、検索されそうなキーワードのほか、クリニックの強みを前面に出したキーワードを抽出しながら、どのようなキーワードなら検索エンジンの上位表示を狙えそうか決めていきます。
②サイト構造のチェック(スマホ対応・表示速度など)
クリニックのサイト構造をチェックしていきます。例えば、クリニックのホームページがスマートフォン対応しているかは重要です。近年では多くのユーザーがスマートフォンを使い「病名」や「症状の治し方」などを検索します。その際、スマートフォン対応していないホームページだと、せっかくクリニックのホームページが表示されてもユーザーにとって読みにくいページとなり離脱してしまう要因となります。
また、サイト構造が適切でないと表示速度が遅くなり、離脱される可能性が高まります。そこでサイト構造を最適化することにより、表示速度を向上させることができます。
③コンテンツの設計と発信
クリニックのホームページに掲載されるコンテンツも重要です。コンテンツにはコラムを掲載していきますが、そのコラムを読みそうなターゲット(読者)を想定し、そのターゲット(読者)のニーズに合ったコンテンツを発信することが大事です。
④MEOの設定・口コミ活用
クリニックのホームページに対してローカルSEO(MEO)を設定します。そうすることで、Googleマップ情報との紐づけができるほか、Googleマップにクリニックが表示されたときにユーザーが投稿したGoogle口コミも同時に表示されるなど、自らが投稿することなく第三者からの口コミを活用できるようになります。
⑤定期的な分析と改善(サーチコンソール・アナリティクス)
Googleでは、定期的な分析と改善を行えるサーチコンソールとGoogleアナリティクスという分析ツールを提供しています。
SEO管理ツールとして使われるサーチコンソールには、ユーザーが検索したキーワードを教えてくれる機能があるほか、スマートフォン対応していないページを教えてくれます。
またGoogleアナリティクスには、どのような属性のユーザーが、どのチャネルを経由してホームページにアクセスし、どのコンテンツに興味を示したのかを知ることができますので訪問してきたユーザーの行動を知ることができます。
サーチコンソールとGoogleアナリティクスは連携できますので、クリニックのホームページへアクセスする前とアクセスした後のユーザーの動きを見ることができ、ホームページを最適化できます。
SEO対策で注意すべきポイント
医療SEOには、一般的なSEOにはない以下のような注意すべきポイントがあります。
- 医療広告ガイドラインに違反しない
- 誤解を与える表現に注意する
- 専門性を出しても「患者目線」を忘れない
ここからは、どのように注意していけばよいのかを解説します。
医療広告ガイドラインに違反しないこと
医療系ホームページを作って公開する場合には、医療広告ガイドラインを意識しながら違反しないように制作することが大切です。医療広告ガイドラインでは広告に限らずホームページの内容も対象となっており、もし医療広告ガイドラインに違反すればGoogleからのペナルティを受けるだけでなく、他の医療機関から非難されるようになり、クリニックの経営がうまくいかなくなる恐れがあります。
医療広告ガイドラインでは、虚偽広告、誇大広告、比較優良広告、患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告、公序良俗に反する内容の広告、治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または後の写真等の広告については違反となっています。
誤解を与える表現に要注意
医療広告ガイドラインの違反項目に抵触しなくても、読者に誤解を与えるような表現には注意が必要です。
専門性を出しても「患者目線」を忘れない
ホームページ内のコンテンツに医療関連の専門用語が羅列されていると、いくら正しい情報であっても一般の患者にとっては分かりにくい文章となってしまいます。そこで、患者の目線を忘れないようにしながら、不安に寄り添うような理解しやすい内容にすることを心がけるようにしましょう。
「自分では難しそう…」という方へ
このような医療SEOのすべてを自身だけで作業するのは難しいかもしれないと考えるかもしれません。そういった方に向けて外注するという手段もあります。
外注先の選び方
SEOを実行する場合には、どこまで自身で行うべきで、どこから外部に依頼するべきかを明確にしておきましょう。そのためには、クリニックの現状を把握し、課題を明らかにし、SEO対策の優先順位を付けておくことが大事です。そこで大まかでかまいませんから、SEO対策にかける予算を決めておくようにします。
その上で、下記に合致したWEBマーケティング会社を選ぶようにしましょう。
- 自社でオウンドメディアを所有しているかどうか
- 自社と同じSEOの課題を解決した実績があるかどうか
- SEO施策の提案だけでなく実行支援の実績があるかどうか
- その会社とコミュニケーションがとりやすいかどうか
WEBマーケティング会社の選び方について、詳しく知りたい方は以下のサイトもご覧ください。
美容整形クリニックの事例
新宿にある美容整形クリニックでは、ホームページへのアクセス数の減少という課題を感じていました。そこで、症例ページの見出しの調整やページ間の導線の整理、サイト構造の整理といったSEO対策を行った結果、これまでのクセス数はGoogleの自然検索のみで1日あたり60~70PV程度だったものが、1日あたり80~100PV程度まで向上しました。
医療SEOでよくあるご質問
Q1: 医療分野はYMYLだからSEOが難しいって本当ですか?
A1: 確かに医療系はYMYLに該当する分野で、Googleが厳しく評価するジャンルです。ただし、正しい情報発信と信頼性のある運営を続ければ、十分にSEO効果を得られます。むしろ競合が慎重な分、正しく取り組むことで差をつけやすい分野と言えます。
Q2: キーワード選定はどのようにすれば良いですか?
A2: 医療機関のSEOでは、「地域名+診療科目」や「症状名」を含む検索キーワードが効果的です。たとえば「横浜市 皮膚科」「ニキビ治療 渋谷」などが良いでしょう。
Q3: スマートフォン対応はなぜ必要なのでしょうか?
A3: 現在、患者さんの多くがスマートフォンから検索・予約をしています。Googleでもモバイルフレンドリーなサイトを評価するため、スマートフォン未対応サイトではSEO的にも不利になります。表示速度やレイアウトなどをチェックして、ホームページをモバイルで快適に使える設計にすることが重要です。
医療SEOは難しくない!正しく始めれば成果は出せる!
医療SEOでも難しくありません。正しくSEO対策を行うことで必ず成果を出すことができます。
最初の一歩を踏み出すだけで確実に変わっていきます。必要ならプロの支援も活用して、集患体制を整えましょう。お困りのことがあればCMSPROへお問い合わせください。

監修者谷口 翔太リンヤ株式会社 代表取締役
2007年「リンヤ株式会社」を創業。WEBマーケティング歴17年。草創期より一貫してWEBマーケティング の専門家として、多くの企業の収益向上に貢献。これまでに手がけた企業は2902社。豊富な経験を活かし、SEO対策を中心とした効果的なWEB施策により集客最大化を図る。HP制作から運用まで顧客企業をトータルでサポートしている。