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【購買行動モデル】ZMOT・FMOT・SMOT・TMOTとは?P&GやGoogleが提唱したネットや店頭での消費者行動やファン獲得の仕組みを徹底解説

2023年05月12日(金) 消費者行動モデル

4つのMOTとは?
  • Stimulus(購入を考えるきっかけ)
  • ZMOT(ネットで予め買うものを決める)
  • FMOT(店頭での意思決定)
  • SMOT(購入した顧客がリピーターになる)
  • TMOT(リピーターがファンに変わる)

消費者と企業が接点を持ち、商品やブランドを評価し購入を決める意志決定の瞬間をMOT(Moment of Truth)といいます。真実の瞬間とも呼ばれる「MOT」が訪れるタイミングは、ZMOT、FMOT、SMOT、TMOTという4つの購買行動モデルで示すことができます。

この記事では4つのMOTの特徴やその契機となる「Stimulus」について詳しく解説し、具体的に行うべきマーケティング施策の例を交えてご紹介します。

目次

【はじめに】購入を考えるきっかけ「Stimulus」とは?

読み方 スティミルス
ポイント 商品を認知するきっかけ(手段は何でもよい)

Stimulus(スティルミス)とは、消費者が商品やブランドについて知るきっかけの段階です。商品やブランドを購入する前段階であるStimulusの方法は、テレビなどのメディアからWEB広告や検索、SNSをはじめあらゆるものが想定されます。「店頭で偶然目にした」「人との会話で知った」といった手段もStimulusになり得ます。

ZMOT:ネットで買うものを決めてから来店する

読み方 ズィーモット
正式名称 Zero Moment of Truth
ポイント
  • 商品を買う前に行う情報収集や比較検討のこと
  • 検索エンジンが多用される

4つのMOTの1つ、ZMOTはZero Moment of Truth(ゼロモーメントオブトゥルース)の略称です。Googleが提唱した購買行動モデルになります。

現代の消費者は、実際に商品を購入する前の段階で情報収集を行っていると考えられます。店頭に出かけるなど購買行動を取る以前に、インターネットで比較検討を行う事があるためです。

特に消費者自身が重要視している商材、高価な商材、また機能性にかかわる商材では、検索をはじめ事前の「情報収集」ありきの購入傾向が見られます。ZMOTで購入する商品をあらかじめ決めた消費者は、店頭やECサイト上では迷わずその商品を買う場合が多くなります。

Googleが行った調査によれば、ZMOT段階で得た情報が購入の決め手となっているとした消費者の割合は80%以上を占めています。検索エンジンの他、友人や家族などとの会話による口コミやハッシュタグを活用したSNSでの検索が行われることが多いとの結果も出ています。

また、あらかじめ情報収集を行うのは、消費者の「失敗したくない」という心理の表れともいわれています。店頭に行く前段階であるZMOTのタイミングの重要性を理解し、ネット上での情報発信やSEO対策と顧客満足の向上を図る必要があるでしょう。

【具体例】ZMOTに基づいた有効なマーケティング方法とは

SEO対策
コンテンツマーケティング
ZMOTが表す情報収集で最も利用されやすいのは検索エンジンによる検索であるため、SEOやコンテンツマーケは重要
SNS運用 「タグる」という言葉が出るなど、SNSは情報収集や検索で多用されるようになっている
MEO対策 検索エンジンの検索結果に表示されるため重要
YouTube運用 検索エンジンの検索結果に表示されるため重要
口コミ対策
顧客満足度向上
消費者の「失敗したくない」という心理には高評価の口コミが多いことが有効な対策となる

ZMOTでの意思決定においては、インターネットやSNSなどによる検索や家族・友人との会話が大きな影響を及ぼします。

また、消費者が念入りに情報収集を行うのは、「失敗したくない」という心理による部分が大きいです。よって、消費者の「失敗」を避けたい心理を配慮し、検索エンジンやSNSの検索結果から得られる情報に対応する必要があります。コンテンツのSEO対策など顧客満足の向上が大きな意味を持ちます。また良い口コミを増やすことも、消費者に安心感を与える要因となります。

効果的なマーケティング方法としては、SNSでの自社アカウント運用の強化を含め、適宜広告を活用するなどし、ユーザーが有益と感じられるコンテンツ発信を行うことが考えられます。加えて、ハッシュタグ機能による検索「タグる」が普及する点を踏まえ、ユーザー発の口コミサイトやECサイトのレビュー投稿を意識したUGC(User Generated Content)にも注力していくことが大切です。

FMOT:店舗で買う商品を決める瞬間

読み方 エフモット
正式名称 First Moment of Truth
ポイント
  • 店頭で瞬間的に購買する商品を選択すること
  • 他の商品より目立つことが重要となる

FMOTはP&Gが提唱した購買行動モデルです。First Moment of Truth(ファーストモーメントオブトゥルース)の略称で、顧客が店の棚などに陳列された商品を見た後、瞬間的に購買商品を選択するタイミングを指します。

FMOTは店頭で商品を購入する最初のタイミングに着目した考え方です。そのため店頭購入が多い普段使いの日用品、いわゆる最寄り品に該当する商材に適した購買行動モデルといえるでしょう。P&Gの調査では、消費者が店頭で購入を決めるまではおおよそ3~7秒程度と、かなり短時間で決めていることがわかっています。3~7秒の間に自社商品を見つけてもらい、いかに印象付けられるかがポイントとなってきます。

【具体例】FMOTに基づいたマーケティング施策の例

パッケージデザインの改善 いずれも、他の競合商品よりも目立つようにするために効果的といえる。
POPや映像の作成や設置
陳列棚のレイアウトの改善
人的販売の実施や改善
(説明・接客・試食など)

FMOTでは、何よりも店頭でのアプローチが大切になります。店頭で消費者が購買の意思を決定するまでの間に、競合商品との差別化を図る必要があるためです。

例えばパッケージデザインの最適化やPOPをはじめとする映像ディスプレイの設置など、視覚的に「目立たせる」施策に重きを置く必要があります。さらに食品の場合は試食の実施、高価な商品の場合は店員による説明を中心に接客のブラッシュアップを図るなど人的販売に関する対策、店頭でのプロモーションに注力することも大切です。

SMOT:利用体験によるリピーター化

読み方 エスモット
正式名称 Second Moment of Truth
ポイント 商品をリピートするか決める瞬間

SMOTは、Second Moment of Truth(セカンドモーメントオブトゥルース)の略称で、P&Gが提唱しました。商品を購入した顧客は、実際に商品を利用し、その体験から使い勝手などを評価します。その結果、リピートするか決める、まさにその瞬間がSMOTです。

リピーターの獲得はその後のファンやロイヤルカスタマーの獲得にも大きく影響します。SMOTは、リピーターを得るための施策を行うべき重要な瞬間であると言えるでしょう。商品のクオリティを絶えず改善して顧客満足の最大化に努めることはもちろん、サポートなどのアフターサービスの提供についても工夫を凝らす必要があります。

【具体例】SMOTに基づいたマーケティング施策の例

商品の継続的な改善 顧客満足度の向上に重要
カスタマーサポートの提供・改善
アフターサービスの提供
メルマガやチラシなどによる情報提供 さらに商品やブランドへの興味を深めてもらうのに効果的

そもそもリピーター獲得には、顧客満足度の向上、ブランドロイヤリティを醸成が不可欠です。よってSMOTに至るまでには商品の継続的な改善や、高品質なカスタマーサポートの提供などが大きな意味を持ってきます

また、商品を購入後のアフターサービスの提供も重要です。例えば調理器具の場合、器具を活用した使ったレシピの提供やイベントの開催などの丁寧な対応等が考えられます。マニアックな車やバイクのような趣味性の高い商材であれば、同一メーカーや同一車種のオーナー向けのイベントの開催などを行うのも効果的でしょう。

その他、メルマガやチラシによって情報提供を行い、顧客と接点を持つよう努めることも大切です。しかし、頻回になるとユーザーによっては印象を損ねる場合もあるため、ケースバイケースで柔軟に対応しなければなりません。

TMOT:リピーターがファンになること

読み方 ティーモット
正式名称 Third Moment of Truth
ポイント 購買を繰り返すうちにファンになる瞬間

TMOTはリピーターとなった消費者が、商品を何度も購入・利用しているうちにブランドロイヤリティが高まり、ファンになる瞬間を表す購買行動モデルです。Third Moment of Truth(サードモーメントオブトゥルース)を略してTMOTと表されています。

固定客がしっかりと定着することは安定的な売上につながります。またTMOTの継続により、自身の愛用する商品、ブランドへの好意的な口コミ投稿、新規顧客の獲得に役立つ情報拡散を行ってくれることも多くなります。ファンの獲得という面でもTMOTは非常に重要な意味を持っているのです。

【具体例】TMOTに基づいたマーケティング施策の例

商品の継続的な改善 顧客満足度の向上に重要
カスタマーサポートの提供・改善
アフターサービスの提供
メルマガやチラシなどによる情報提供 さらに商品やブランドへの興味を深めてもらうのに効果的

TMOTでは、リピーターをファン化することが目標となります。よって、SMOTと同様、商品の継続的な改善や、高品質なカスタマーサポートや丁寧なアフターサービスの提供が有効な施策として挙げられます。顧客の興味や趣味嗜好などを細かく把握し、的確な施策につなげるためにアンケートなどを行うのも効果的でしょう。 口コミ・レビューの投稿や情報の拡散などを促すことで、さらなる新規顧客の獲得につながります。

ZMOT・FMOT・SMOT・TMOTに関連する消費者行動モデル5選

時代の変化と共に、消費者の購買行動は細分化しています。消費行動を考えてマーケティングを行う際は、さまざまな購買行動モデルを組み合わせた対応や施策が必要になってきます。ここからはZMOT・FMOT・SMOT・TMOTにも関連する消費者行動モデルについて詳しく解説します。

5A理論:ネットとリアルが融合した現代の購買行動を解説

構成要素
  • 認知(AWARE)【認知段階】
  • 訴求(APPEAL)【感情段階】
  • 調査(ASK)【感情段階】
  • 行動(ACT)【行動段階】
  • 推奨(ADVOCATE)【行動段階】
派生元 なし

5A理論とは、ネット(オンライン)とリアル(オフライン)の消費行動を区別せずに考えた購買行動モデルです。

一般的な購買行動モデルは、商品の「認知」を経て「情報収集」「購買」「拡散」と段階を踏むたびに対象者が絞られていくため漏斗型(ファネル)の形を示します。 一方で5A理論では、漏斗型にはなりません。例えば商品購入前の消費者が情報を拡散し、他者に「推奨」する場合も考えられます。実際の消費者の行動は「購入」や「検索」など、ステップを踏んで行われるとは限らないからです。

5A理論では、どの段階でも消費者と双方向の接点があると考えています。

AIDMA:マス広告からの顧客獲得を解説

構成要素
  • Attention(注意)【認知段階】
  • Interest(関心)【感情段階】
  • Desire(欲求)【感情段階】
  • Memory(記憶)【感情段階】
  • Action(購買行動)【行動段階】
派生元 AIDA

AIDMAは、もっとも初期に提唱されたマーケティングモデル「AIDA(アイダ)」の派生形で、AIDAにM(Memory=記憶)を加えた消費者行動モデルです。消費者が商品を認知してから「ほしい」と思い、購入に至るまでの段階が示されています。派生元のAIDAと同じく、消費者の購買段階をシンプルに示したモデルで、汎用性が高いことが特徴です。

AISCEAS:ネット時代の購買行動を解説

AISCEASの構成要素と仕組み

構成要素
  • Attention(注意)【認知段階】
  • Interest(関心)【認知段階】
  • Search(検索)【感情段階】
  • Comparison(比較)【感情段階】
  • Examination(検討)【感情段階】
  • Action(購買)【行動段階】
  • Share(共有)【行動段階】
派生元 AISAS

AISCEASとは、インターネットの利用を前提とした消費者行動モデルです。インターネットを使った購買行動を想定した購買行動モデルとして再初期に提唱された「AISAS」をより深化させた物となっています。

商品・サービスを認知し、インターネットによる検索を経て購買に至るという基本的な流れはAISASと変わりませんが、購入前に検索で見つかった競合商品などを比較検討するプロセスが加えられているのがAISCEASの特徴です。

Dual AISAS:SNSと検索からの購買行動を解説

Dual AISASの構成要素と仕組み

構成要素 縦軸
(購買行動)
  • A:Attention(注意)【認知段階】
  • I:Interest(購入への興味・関心)【感情段階】
  • S:Search(検索)【感情段階】
  • A:Action(行動)【行動段階】
  • S:Share(共有)【行動段階】
横軸(SNS)
  • A:Activate(活性化)
  • I:Interest(拡散への興味・関心)
  • S:Share(共有)
  • A:Accept(拡散された情報の受容・共鳴)
  • S:Spread(受容した情報の拡散)
派生元 AISAS

SNSによるコミュニケーションが購買行動に影響を及ぼす点に着目した消費者行動モデルがDual AISASです。2015年に電通によって提唱されました。

AISASから派生した消費者行動モデルであり、商品の認知~購入・拡散に至るまでを表したAISASの内容を「縦軸」で示しつつ、購買とは別に行われるSNS上でのコミュニケーションを横軸で表しています。

AMTUL:リピーター・ファン獲得の流れを解説

AMTULの構成要素と仕組み

構成要素
  • Awareness(認知)【認知段階】
  • Memory(記憶)【検討段階】
  • Trial(試用)【行動段階】
  • Usage(日常利用)【行動段階】
  • Loyality(固定利用)【行動段階】
派生元
  • AIDA
  • AIDMA

AMTULとは、商品を継続購入する「リピーター」や「ロイヤルカスタマー」の獲得までの流れを表した消費者購入モデルのことです。消費者が商品やサービスを認知し、試しに購入したり、試供品を使ったりするなど「試す」プロセスを経て、購買が日常化、最終的に固定化するステップが示されています。

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