消費者が商品やサービスを知り、購入まで進むまでにどのようなステップを踏むのかといった一連の流れを「消費者行動モデル(マーケティングモデル・購買行動モデル)」と言います。消費行動モデルは、時代やメディアの発展と共に改良が繰り返され、常に変化し新しいものが生まれてきました。
インターネットの発展・SNS時代を背景にして提唱されたAISCEAS(アイシーズ)モデルもその1つです。
従来からあるAIDMAモデルの派生形であるAISCEASは、これまでの消費者行動モデル(AIDA・AISAS・AIDCA・AMRTUL)とどこが異なるのでしょうか。
当記事では、この「AISCEAS」の特徴や活用するメリットなど、AISCEASについて知っておくべきことを網羅的に解説していきます。AISCEASを実際の購買行動に当てはめた具体例もご紹介していますので、ぜひご活用ください。
目次
AISCEASモデルとは?使い方と特徴・構成要素を解説
構成要素 |
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用途・特徴 | インターネット上での消費者行動を表しているAISASの強化版・詳細版。基本的に商材を問わず購買行動全般に当てはめられる。 |
読み方 | アイシーズ アイセアス |
派生元 | AISAS AIDMA AIDA |
派生先 | なし |
提唱者 | 望野和美(有限会社アンヴィコミュニケーションズ 代表取締役) |
提唱時期 | 2005年 |
代表的な消費者行動モデルに「AIDA」と「AIDMA」があり、この2つはこれまでチャネルや商材を問わずありとあらゆる場面で活用されてきました。
しかし、AIDAやAIDMAが生み出された時代に消費者が商品やサービスの情報を知る方法は、新聞・雑誌の広告、カタログやパンフレット、店頭販売などに限られていました。途中でテレビCMが登場しましたが、「限られた発信者(メディア)から消費者への一方通行のコミュニケーション(=広告活動)」という根本的な部分は変わっていません。
しかし、インターネットが普及し、消費者が発信力を手にするとともに能動的な情報の収集を行うようになると、AIDAやAIDMAでは十分に説明できない新たな消費者行動が生まれるようになります。
このようなインターネットが普及した環境下でまず登場したのがAISAS(アイサス)です。2004年、広告代理店の電通が提唱したモデルとして知られています。
AIDMAでは、①ユーザーが商品を知るAttention(注意)から②Interest(関心)へと移り、③商品をほしいと思いDesire(欲求)、④Memory(記憶)し、⑤購入 Action(行動)という行動を想定していますが、AISASでは③の欲求、④記憶というステップに代わり、ユーザーがSearch(検索)とAction(購買)し、Share(共有)するという段階を踏むのが特徴です。これは検索エンジンなどから検索(Search)した結果、Action(購買)、加えてSNSなどでの情報共有に移るという、インターネットが普及した時代ならではの消費者行動を想定したものとなっています。
しかし、先程のAISASには、現在の私たちが当たり前にやっている「比較検討」のプロセスが入っていません。AISCEASはその点が改善された派生形であり、Comparison(比較)、Examination(検討)を追加することで消費者行動をより詳しく分析できるようになっています。
AISCEASが登場した背景には、比較サイトなどが一般化しネット上での商品比較が簡単にできるようになったこと、また口コミやレビューが多数投稿されるようになった点が影響を及ぼしていると言えるでしょう。
AISCEASには用途別の向き不向きがなく、基本的にほとんどのサービスや商品で用いることが可能な消費者行動モデルだとされています。ただし、情報収集が積極的に行われることを想定しているモデルであるため、ネット・リアルのどちらで購買行動をとるかに関係なく、購買前に積極的に情報収集が行われる機能価値が高い商品や高価な商品、BtoBの商品に適している傾向があります。
また、その視点で考えると、現在も従来のマスマーケティングの比重が大きいリーズナブルな消耗品などはAIDMAモデルを適用するのが適切といえます。またAISCEASからさらに情報を「広める」点を重視したAISAS派生型のDualAISASは、その特性からSNSが話題になりやすいBtoCの商材において適性が高いと言われます。
AISCEASの登場は2005年。少々時間は経っていますが、2010年代からのSNSの台頭といったネット環境の変化においても廃れることはなく、現在も柔軟な解釈の素で活用されています。 ここからはAISCEASの各ステップを更に掘り下げて解説していきます。
Attention(認知)=消費者が商品を認知する【認知段階】
AISCEASの1段階目であるAttention(注意=認知)は、消費者が商品やサービスを何らかの方法で知り、認知するステップです。
企業側としては商品やサービスを知ってもらうのが最大の目的です。媒体や方法はどんな形でも構いません。ネットや新聞、テレビの記事や番組などはもちろん、Googleなどの検索エンジンやAmazon等のECサイトによる検索やSNSの利用などWEB関連でも認知まで手段を問わず、消費者の注意を引かなくてはなりません。
認知を広めていく具体的な方法には新聞やテレビ、雑誌などのマス広告やネット広告。交通広告など広告全般、さらにはメディア取材等の広報活動も意味を持ちます。情報に触れた消費者がさらに深掘りするための企業サイトの果たす役割も大きいでしょう。
またユーザーが課題解決のために検索やSNSを活用し、認知される事例もあります。こういったユーザーを逃がさないためのコンテンツマーケティングやSNS施策も不可欠です。
Interest(関心)=そのジャンルの商品に興味関心を持つ【認知段階】
AISCEASの2段階目であるInterest(関心)は、商品やサービスを認知した消費者に興味や関心を持ってもらう段階となります。現状、商品やサービスに興味を持っている消費者(見込み客候補)がさらに能動的に情報収集を行い深掘りしてくれるようなアピールが必要です。
1段階目のAttention(注意=認知)がすぐにInterest(関心)に進化するとは言い切れません。企業側はサービスや商品の購入メリットやセールスポイントをより知らしめるため、1段階目のAttentionと同様、まずは認知拡大を目標としなければなりません。認知拡大を目的とした広告活動を行っていきます。
Search(検索)=商品やブランドを調べる【感情段階】
AISCEASの3段階目であるSearch(検索)は、商品やサービスに興味を持ったユーザーがさらなる情報収集を行う段階となります。AISASと同じく、AISCEASでもWEB検索やSNSでの情報収集、比較サイトやECサイトといったネット上で調べることを想定したモデルです。
しかし情報収集の方法はネット上だけとは限りません。例えばウインドウショッピングのように、リアルでの情報収集もユーザーにとっては身近な方法です。企業側はサービスや商品によって、リアルな情報収集も含めて柔軟に想定しておくといいでしょう。
加えて自社商品はもちろん、同業他社の競合商品も想定した訴求が必要です。また課題解決に結びつく場合、別の商品を検索して比較されることも念頭に置くのは需要です。例えるならドリルを購入したいユーザーは必ずしもドリルがほしいわけではありません。本来の課題解決は「穴を開けること」である可能性もあるからです。
幅広く訴求を行うために、広告にプラスしてSEO対策やサイテーション(第三者のブログ等での言及や引用)の拡充などにも力を入れる必要が出てきます。
Comparison(比較)=複数の商品を比較する(他社商品・自社商品のラインナップなど)【感情段階】
AISCEASの4段階目であるComparison(比較)は、自社商品と複数の競合商品をユーザーが比較しているプロセスです。AISCEASの3段階目のSearch(検索)と同じく、WEB検索やSNS、比較サイトやECサイト、メディアやブログのレビューなどをメインとして、リアルでの情報収集が行われます。
比較の判断材料となるのは価格だけでなく、商品やサービスの持つ潜在的なブランド力、スペック等が物を言います。つまり他社との差別化や自社のブランディング、好意的なレビューを増やすことなどが大切になるわけです。特にネット広告では特定のユーザーやコンテンツ等、対象を絞り込んだターゲティング広告が有効です。
Examination(検討)=口コミやレビューの参照・お試し利用等でさらに検討【感情段階】
AISCEASの5段階目であるExamination(検討)は、前プロセスのSearch(検索)とComparison(比較)で集めた情報をベースとして実際に購入する商品・サービスを検討して絞り込む段階となります。
このプロセスでは、購買を促すためのさらなる積極的な情報提供が欠かせません。とはいえ、ただ情報を押しつけ「売り込む」よりは、購入のメリットや魅力を伝える施策のほうが効果的です。
ひとたび商品やサービスに注目し、関心を持って検索した場合でも、さまざまな理由からその存在を忘れるケースがあります。また購買意欲そのものが忘れられてしまう可能性も否定できません。だからこそ従来の購買行動モデルであるAIDMAのプロセスであるMemory(記憶)のステップは無視できないのです。
1回以上、自社のサイトを訪れたユーザーに対し再度広告を表示させるリターゲティング広告等を駆使し、ユーザーの記憶を喚起して思い出してもらう戦略の活用をおすすめします。
Action(購買)=実際に商品を購入・契約する【行動段階】
AISCEASの6段階目であるAction(行動=購買・契約)は、消費者が実際に商品の購入やサービスの契約を行うプロセスです。しかし他の消費者行動モデルのAction同様、消費者は商品を購入しようとしているか、購入のきっかけをつかめていないかのどちらかの状態です。
企業側としては導入や購入のサポートにより明確な行動実行につなげなくてはなりません。そのために、購入のきっかけをつかめていない顧客のフォローアップと、ユーザーの定着に向けたUX・UIの改善が必要です。またチャンスロスをなくすため、適正な在庫管理も実行しましょう。
顧客のフォローアップ対策としては、リターゲティング広告を含む広告配信も一案です。また特定の商圏内限定のローカルビジネスなら、チラシや看板などのオフラインの広告も検討します。
機会損失回避には、在庫切れを防ぐ在庫管理はもちろんのこと、入力を簡潔にして購入ハードルを下げるなどの対策も効果的です。わかりにくいUIを改善や混雑を解消するなどユーザー視点を徹底させることで購買体験(顧客体験=UX)を向上させる事も大切となります。リアルではレジ増設、ネットの場合はサーバーの強化によってサイトの不安定さを強化するなどの方法が挙げられるでしょう。
UX・UIの改善は、お客様相談室等を活用してユーザーの声を集めるのが先決です。電話以外にQ&Aサイトやアンケート、SNSの管理・運用でも細かな顧客ニーズを拾えます。
Share(共有)=購入した商品を共有する(SNS・口コミ・レビュー)【行動段階】
AISCEASの最終段階であるShare(共有)は、実際に購入した消費者が商品の情報を共有する段階です。SNSでの投稿だけでなく、口コミやレビューの投稿も該当します。実際に購入し、商品・サービスへの満足度が高いユーザーのSNSへの投稿及び口コミやレビューは、新規顧客の獲得とリピーターの獲得に好影響を及ぼします。
Share(共有)に関しては、「広めたい」との強い意志があって行われるだけではありません。何気ない話題の一環としてさらっと言及されるケースも存在します。
ただ、インターネットユーザーのすべてがSNSやレビュー、口コミを投稿するとは限りません。その点に考慮しつつ、SNSやQ&Aサイトに企業公式アカウントを開設し消費者の声のキャッチアップや交流による話題作りやファン獲得を行うことも有効です。
好意的な共有がなされれば、顧客獲得などメリットも大きい一方、Share(共有)によって一度つけられた悪評を消すことは難しい部分もあります。ユーザー対応には細心の注意が必要になります。また、顧客満足度を高めるべく、商品の改善を継続的に行うことにも力を注がなければなりません。
【事例】AISCEASの活用方法を具体例で解説
今回は弊社の社員が実際に商品やサービスの購入・契約を行った消費者行動の事例を3つご紹介し、それにAISCEASがどのように当てはまるのかをご紹介します。
【事例1】ソロキャンプ用のテントを購入したケース
1つ目の事例は、商品(物)を購入した際に取った行動です。
弊社の社員が、「コットテント」というコット(=キャンピングベッド)の上に被せて使用するキャンプ用のテントを購入した経験を例にご紹介します。
- A:キャンプに使うテントを探している時に、コットテントという従来のテントとは違う選択肢を見つける
- I:地面にテントを付けないため汚れにくいことを知って興味を持つ
- S:どのような商品があるのか、WEBや通販サイトで検索
- C:出てきた2つの商品と通常のテントを比較する(レビューは無かったので公式サイトと通販サイトの情報を参照)
- E:設置が簡単でコンパクトに収納できることを知って通常のテントよりこちらを購入することを決定。さらに選択肢の2つを比較
- A:雨に遭う可能性を考慮して耐水圧が高いほうを購入(値段も安かった)
- S:友達と旅行の話になったときにコットテントを買った話をする(=口コミ)
この時はこのような流れで購入に至りました。
【事例2】ヒゲ脱毛を契約したケース
2つ目の事例は、比較的高額なサービスを契約した際に取った行動です。
弊社の社員がヒゲ脱毛に興味を持ち、一度お試しの体験をしてから契約を行った経験を例にご紹介します。
- A:電車の交通広告とYouTubeの動画広告でひげ脱毛の情報を見る。
- I:髭を剃るのが面倒に感じていたので興味を持つ
- S:自宅近くで実施したいと思い「髭脱毛 埼玉」でWEB検索
- C:検索結果の上位に出てきたサイトの料金やプラン、口コミを比較する
- E:初回500円等のお試しキャンペーンに行ってみて、費用に見合った効果がありそうか、最後まで通えそうか検討
- A:体験で効果を実感し、髭を剃らなくても良いという理想の状態を想像できたので契約に至る
- S:会った友達に話の流れで紹介(=口コミ)、SNSとかでシェアする
今回はこのような流れで契約に至りました。
【事例3】タブレット端末を購入したケース
3つ目の事例は、商品(物)を購入した際に取った行動です。
弊社の社員が読書とテレワークに使用するタブレット端末(5万円台・中国メーカー製)を購入した経験を例にご紹介します。
- A:Amazonの「タブレット」の検索結果に表示されたことで購入したタブレットを知る
- I:最低限ほしいスペック(メモリ6GB・容量128GB以上・6万円未満)を満たしていたので選択肢の1つとする。
- S:この商品を含む、詳細な情報を知らない候補の製品のレビュー全て検索
- C:元々重視していたスペック(メモリ・容量・価格)と調べて分かった重要なポイント(CPU・バッテリー性能・キーボード接続の可否)で商品を比較
- E:さらに候補を絞り込んだうえで、スペック表とレビューを見ながら購入する商品と購入方法を検討
- A:不具合発生時に返品が可能で(最安値ではないが)安かったAmazonの正規代理店でタブレットを購入
- S:ガジェット好きの友人と会った際に話題にする(=口コミ)
【今でも使える?】AISCEASのメリット・デメリット
インターネット時代の消費者行動モデルであるAISCEAS。AIDMAやAIDAに代わり、時代の潮流を意識したモデルではあるものの、2005年の登場からすでに10年以上が経過しています。トレンドやテクノロジーが目まぐるしく移り変わる現代社会においては、AISCEASですら「古い」モデルに分類されます。
ただ、インターネットが広まる中、ユーザーの「比較」「検討」行動も普及していきました。今や、興味を持った商品を調べて比較・検討してから買うという大きな流れは当たり前に定着しています。2005年当時とそう変わらないプロセスをたどっているため、現在もAISCEASは実用性のあるモデルだとも言えるのです。
AISCEASの登場後、関連する多種多様な消費行動モデルも生まれています。例えば自社の商材がサブスクの場合は、後ほど解説するAMTULを併用するのも一案です。より詳細なSNSでの購買行動を想定するならばAISCEAS とDual AISAS(同様に後述)の双方を活用するなど、他のモデルと組み合わせつつ活用することを推奨します。
AISCEASに関連する消費者行動モデル【実務で必須】
最初にお伝えしたように、AISCEASの大元となった消費行動モデルが「AIDMA(アイドマ)」と「AISAS(アイサス)」です。またインターネットの普及後、AISCEASに関連した多種多様な消費者行動モデルが登場してきました。
ユーザーの購買行動をすべてカバーできるモデルは存在しません。マーケティングの実務においては、自社の商品の特性やユーザーの行動パターンを把握し、必要に応じて使い分ける必要があります。基本となるAIDMAはもちろん、以下で解説するさまざまな関連モデルを知ることが大切になってきます。
AIDMA|有名な消費者行動モデル【AISCEASの派生元】
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(購買行動)
AIDMA(アイドマ)とは、1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホールが提唱した消費者行動モデルです。その当時から現在まで広告やマーケティング分野で、長らく活用されてきた代表的なモデルとして知られています。
Attention(注意、認知)、Interest(関心)、 Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の各頭文字で構成されているのが特徴です。AISCEASは、AIDMAをベースにインターネットの普及に合わせて派生した消費行動モデルです。
AIDMAはおおよその商材に活用できますが、特に日用品のように実店舗での購入で効果的な手法だと言えるでしょう。
AISAS|ネット時代の基本的な消費者行動モデル【AISCEASの派生元】
- Attention(認知)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action (行動)
- Share(共有)
AISAS(アイサス)とは電通が提唱した消費者行動モデルです。Attention(注意、認知)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(購買)、Share(共有)の頭文字を取って作られています。インターネットの広まりにより、消費者の行動にも変化が生まれました。「検索」や「共有」といったネット社会のユーザーならではの購買行動が取り入れられた代表的なモデルです。
一般にユーザーの「購入して失敗したくない」という思いは、高額な商品であればあるほど強い傾向にあります。またAISASは SNS、口コミなどでの「共有」プロセスをたどるため、性質上BtoC商材に向いているモデルと位置づけられます。
AISASとAISCEASは共にインターネットの普及後に誕生したという共通点を持っています。AISASにプロセスを追加した発展型がAISCEASと言ってもいいでしょう。
Dual AISAS|SNS上での消費行動の解像度を上げたAISASの強化版

縦軸(従来のAISAS)
- Attention(認知)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
横軸(追加された情報拡散の軸)
- Activate(ブランド情報の興味関心層が商品の興味関心層に移行する活性化)
- Interest(広めることへの興味)
- Share(拡散)
- Accept(拡散された情報の受容)
- Spread(受容した情報をさらに拡散)
Dual AISAS(デュアルアイサス)とは、AISASに「広めたい」という要素を付け加えた消費行動モデルとなります。Dual AISAS の「AISAS」はActivate(活性化)、Interest(興味)、Share(共有)、Accept(受容)、Spread(拡散)の各頭文字で構成されています。従来の「AISAS」の「A」であるAttention(注意・認知)のきっかけになるべくActivate(活性化)を組み入れたAISASの強化版ともいうべきモデルがDual AISASなのです。
Dualには「異なる2つ」との意味があります。これまでの「AISAS」では、Attention(注意・認知)に至っても、購入に結びつかないことがわかってきました。つまり「広めること」そのものを商品やサービスへの関心へ結びつけ、「広めたい」を「買いたい」に変えなければならないのです。Dual AISASは基本的にどの商材も対象となりますが、SNSの影響が強いためBtoCの商材により向いているとされます。
AISEPAM|個人情報が多く含まれる商材の消費者行動モデル【ネット対応】

- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Examination(検討)
- Permission(許可)
- Action(購買行動)
- Monopoly(専有)
AISEPAM(アイセパム)とは、個人情報を多く含む商材で活用できる消費者行動モデルです。
Attention(注目・認知)、Interest(関心)、Search(検索)、Examination検討)、Permission(許可)、Action(購買)、Monopoly(専有)で構成されています。進学や不動産など、顧客の個人情報が含まれている商材であるため、顧客による「Share(共有)」が行われず、「Monopoly(専有)」するのが大きな特徴となります。
進学や不動産など、親族や家族などの許可が必要で意思決定者が1人でない商材の場合、従来の消費行動モデルが適さない部分が多くありました。これがAISEPAM登場の背景となっています。
一方で、個人情報が多く含まれる商材であってもAISEPAMが当てはまらないこともあります。例えばダイエットは健康や体型といった個人情報が多く関連する商材ですが、経過報告をSNSで発信する消費者も存在するためです。ただし、「誰にも知られずに痩せたい」といった情報を専有したいニーズも十分に考えられますので、「ダイエット=AISEPAMに当てはまらない」とするのは早計です。
結論として、AISEPAMが活用できるかどうかは自社の商材の特徴や強みとよく照らし合わせて考える必要があります。
AMTUL|継続購入・サブスク特化の消費者行動モデル
- Awareness(認知)
- Memory(記憶)
- Trial(試用)
- Usage(日常利用)
- Loyality(固定利用)
Awareness(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(日常的、本利用)、Loyalty(固定利用・愛用)の頭文字を取った消費者行動モデルとなります。AMTULはユーザーの継続的な購買行動に着目しているのがポイントです。最後のプロセスであるLoyalty は、商品・サービスを含めたブランドに対する信頼や愛着を意味します。
AMTULを知ることは、商品やサービスのファンを増やすことであり、顧客ロイヤルティを高める点でも有効です。顧客ロイヤルティの向上が商材のファンを増やし、結果的に継続的な購入・利用につながると判明したのです。
加えてリピート率など利用頻度はもちろん、顧客単価のアップ、優良顧客による口コミで新規顧客を生むなどメリットが多いことがわかっています。AMTULの活用による顧客ロイヤルティの向上は、定期購入だけでなくサブスクにも有効です。