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AIDEES(アイデス)とは?顧客体験にフォーカスした消費者行動モデルを徹底解説

2023年03月03日(金)消費者行動モデル

自社商品・サービスを購入してもらうため、ユーザーがどのようなプロセスを経るのかを表す消費者行動モデル(マーケティングモデル・購買行動モデル)。なかでもAIDEES(アイデス)は顧客体験やファン心理に着目した消費者行動モデルです。AIDEESは詳細や活用に適したシーンなどを、メリットやデメリット等も含めて解説します。

目次

AIDEES(アイデス)とは?使い方と特徴・構成要素を解説

構成要素
  • Attention(注意・認知)【認知段階】
  • Interest(興味)【感情段階】
  • Desire(欲求)【感情段階】
  • Experience(体験)【行動段階】
  • Enthusiasm(熱中)【行動段階】
  • Sharing(共有)【行動段階】
用途・特徴 顧客の購買体験(ユーザー体験)に着目し、ファンの獲得を想定した消費者行動モデル。顧客が商品やサービスを体験してから熱中していく流れを想定している。
使える商材の例 あらゆる商材。
読み方 アイデス
派生元 AIDA
派生先 なし
提唱者 片平秀貴氏(元東京大学大学院経済学研究科教授)
提唱時期 不明

AIDEESは、Attention(注意・認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Experience(体験)、Enthusiasm(熱中)、Sharing(共有)の6つのプロセスの頭文字で構成される消費者行動モデルです。従来までの消費行動モデルAIDAやAIDMAとは異なり、「ユーザー」視点・購買体験のプロセスに重きが置かれています
また、購入後に口コミやSNSにより情報シェアが行われる事を想定しているのも特徴で、どのような商材でも活用できます。

提唱者は元東京大学大学院経済学研究科教授である片平秀貴氏です。

Attention(認知・注意)【認知段階】

AIDESSの1段階目であるAttention(注意=認知)は、消費者が何らかの方法で商品やサービスを認知するステップです。認知にいたる方法は広告、ネット・リアルを問いません。自然検索、Amazon等のECサイトでの検索、SNS、ネットや新聞、テレビの記事や番組などどのような方法でもOKです。消費者は自社商品・サービスについてまったく認知していない段階ですから、まずは「知ってもらうこと」をめざします

認知を広げるため、マス広告・ネット広告・交通広告など広告全般とメディア取材等の広報活動が有効です。また自然検索やSNSを行う場合、何らかの課題を解決しようとして検索(ググる、タグる)をします。解決する「手段」として商品を認知することもあるわけです。

コンテンツマーケティングやSNSでは手段として商品を認知したユーザーを取りこぼさないようにする必要があるでしょう。これらの拡大手段で情報に触れたユーザーの検索を受け止めるため、企業サイトの果たす役割も重要になってきます。

Interest(関心)【感情段階】

AIDESSの2段階目であるInterest(関心)は、商品やサービスを認知した消費者に興味や関心を抱いてもらうフェーズとなります。いったん商品やサービスに興味を持った消費者が能動的に情報収集をしてもらうにはどうすればいいのか、企業側が働きかけるステップでもあります。

難しいのは、1段階目のAttention(注意=認知)がすぐにInterest(関心)に変わるとは限らない点です。関心を抱いた「見込み客候補」へのアプローチは、Attentionと同じく商品購入より認知拡大を目的とした広告活動が適しています。

Desire(欲求)【感情段階】

AIDESSの3段階目であるDesire(欲求)は、自社の商品に関心を持っている見込み客に購買意欲を持ってもらうステップです。ここでの消費者は、商品やサービスへの関心が高まっているものの、購入意欲を持つまでには至っていません。よって、企業としては、自社の商品の魅力を理解してもらう必要があります。

自社商品・サービスのメリット、競合する他社製品と比較した場合の優位性を知ってもらい、ニーズを喚起していきます。使用するシーンやライフスタイルの提案など具体的な内容の周知が大切です。商品に興味を持つ顧客の「いいな」という感情を「ほしい」に変えるための働きかけが重要となります。

これはAIDESS の2段階目「Interest(関心)」と共通する部分でもあります。顧客の興味を引きつける訴求は、Desire 、Interest双方のフェーズにおいて大きな意味を持ってくるのです。

Experience(購入・体験)【行動段階】

AIDESSの4段階目であるExperience(購入・体験)は、顧客が実際に商品を購入したりサービスを利用(体験)したりするステップとなります。ユーザーがお金を支払い、商品やサービスを利用することも含まれます。

「体験」を意味する「Experience」の段階では、顧客によい購買体験をしてもらう必要があります。よい購買体験を経なければ以降のステップである「熱中」や「共有」には結びつかないからです。

まずは顧客満足度を上げる対策に力を入れ、商品やサービスの「ファン」を獲得します。クオリティを上げることはもちろん、接客や問い合わせ等への顧客対応、シンプルでわかりやすいUIの構築なども重要です。商品やサービスに関連するさまざまな部分のクオリティ向上に努めることもポイントとなります。

顧客のニーズを的確につかむためのアンケートも有効でしょう。満足度を客観的に把握し、より高める施策が求められます。

Enthusiasm(熱中)【行動段階】

AIDESSの5段階目であるEnthusiasm(熱中)は、実際に商品を購入、もしくはサービスを利用した顧客が、商品・サービスに熱中しているフェーズで、リピーターやファンになっている状態をいいます。
ここから顧客満足をさらに向上させ、顧客をファンにすることで次の「共有」につながります。

Sharing(共有)【行動段階】

AIDESSの6段階目であるSharing(共有)は、サービスや商品を購入した消費者が、情報を共有するステップです。SNSでの投稿や口コミやレビューの投稿などが該当します。ただし、インターネットユーザーのすべてがSNSやレビュー、口コミを投稿するわけではありません。商品やサービスを「広めたい」との意思を持って投稿する場合もあれば、話の流れでさらっとふれるだけにとどまることも考えられます。

SNSへの投稿及び口コミやレビューは、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの獲得にも大きく影響します。SNSやQ&Aサイトに公式アカウントの開設をし、消費者の声のキャッチアップを行いましょう。ファン獲得のための交流にも有効です。

一度悪評が広まってしまうと、打ち消すのは困難です。SNSへの投稿、口コミやレビュー対応には慎重な対応が求められます。顧客満足度を高められるよう、常に商品の改善にも努めることも大切です。

AIDEESのメリット・デメリット

AIDEESのメリットは、「ファンの獲得」の視点が導入されている点です。従来の消費者行動モデルAIDAやAIDMA、AISASなどは、販売する側からの視点が中心でした。「ファン獲得」の要素がほぼなかったのです。

注意したいのは、興味を持ってから購入に至るまで(Interest~Experience間)のフェーズで情報収集や比較検討のステップが軽視されがちなところです。AIDEESだけでなく、AIDAやAIDMAでも考慮したいポイントともいえるでしょう。

AIDEESを実際に活用する際は、情報収集や比較検討も注視することが大切になります。こちらは、AISCEASなど他の消費者行動モデルを併用して対策することをおすすめします。

AIDEESに関連する消費者行動モデル5選

消費者行動モデルは自社商品やブランドの特性に合わせ、複数モデルを組み合わせたりアレンジしたりして活用します。マーケティング施策では1つのモデルだけにとらわれず、さまざまなモデルを知っておくことが大切です。代表的な5つのモデルをご紹介します。

AMTUL|継続的な購買行動を想定した消費者行動モデル

AMTULの構成要素と消費者の状態の解説

構成要素
  • Awareness(認知)【認知段階】
  • Memory(記憶)【検討段階】
  • Trial(試用)【行動段階】
  • Usage(日常利用)【行動段階】
  • Loyality(固定利用)【行動段階】
派生元
  • AIDA
  • AIDMA
用途・特徴 継続的な購買行動を想定した消費者行動モデル。
リピーターの獲得やサブスクリプション商材の集客、ロイヤルカスタマー(ファン)の獲得を考えるうえで活用できる。

AMTULは、 Awareness(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(日常利用)、Loyality(固定利用)で構成される消費者行動モデルです。「顧客ロイヤリティ」の概念が加えられているのが特徴です。リピーター、ロイヤルカスタマー(ファン)、継続利用が前提となるサブスク商材などの獲得に適しています。

商品のお試し利用(試用)のプロセスを経て、日常的な利用や固定利用(リピーター化)につながることを想定する部分ではAIDEESと近いモデルともいえます。
AIDESSを使用して購買行動を考える場合は、AMTULも併用することをおすすめします。

【派生元】AIDA|最も基本的な消費者行動モデル

構成要素
  • Attention(注意)【認知段階】
  • Interest(関心)【感情段階】
  • Desire(欲求)【感情段階】
  • Action(購買行動)【行動段階】
派生元 AIDA
用途・特徴 最も基本的な消費者行動モデル。個別のケースに応じた応用や他の消費者行動モデルとの併用は必要だが、ありとあらゆる商材の購買行動に当てはめられる。

AIDAは消費者行動モデルの基本として知られています。Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Action(購買行動)の4つの要素の頭文字を取って名付けられました。

広告によって消費者の興味を引き、消費者が商品を認知して購買に至るまでのプロセスを表したシンプルなモデルです。広告を認知してから購買行動に移るまで、比較的短期間での購買行動を想定しているのも特徴の1つとなっています。

【派生元】AIDMA|ポピュラーな消費者行動モデル

構成要素
  • Attention(注意)【認知段階】
  • Interest(関心)【感情段階】
  • Desire(欲求)【感情段階】
  • Memory(記憶)【感情段階】
  • Action(購買行動)【行動段階】
派生元 AIDA
用途・特徴 派生元のAIDAと同じく最も基本的な消費者行動モデルで、商品を覚えているが購買意欲を無くしている状況が想定されているのが特徴。
個別のケースに応じた応用や他の消費者行動モデルとの併用は必要だが、ありとあらゆる商材の購買行動に当てはめられる。

AIDMA もまた、AIDAと並んでベーシックな消費者行動モデルとして活用されています。 Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(購買行動)の5つの要素で構成され、幅広い商材で使用できるモデルです。

シンプルであるがゆえに様々な商材をカバーできるAIDMAですが、各商材に100%当てはまるわけではありません。インターネットの登場以前、実店舗の利用を想定して提唱されたこともあり、AIDMAだけでは把握できない要素も多くあります。他のモデルとの併用は必須です。

AIDMAに特に適しているのは日用品のような実店舗での購買行動です。自社商品の消費者行動を考える際の基盤としての活用を推奨します。

AISAS|ネット時代の消費者行動モデル

AISASの構成要素と仕組み

構成要素
  • Attention(注意)【認知段階】
  • Interest(関心)【感情段階】
  • Search(検索)【感情段階】
  • Action(行動)【行動段階】
  • Share(共有)【行動段階】
派生元 AIDMA
用途・特徴 インターネット上での購買行動に主眼を置いた消費者行動モデル。ネット上では、検索や共有といった、AIDAやAIDMAの時代にはなかった行動が出てきたことから登場した。

インターネット上での購買行動に主眼を置いた消費者行動モデルがAISASです。Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5つのステップからなります。情報収集・情報発信など消費者のアクティブな行動が考慮されているのが大きな特徴です。

消費者行動を表すモデルの中では最も基本的なAIDMAに、検索や共有などの「インターネット時代」に対応した要素が加えられています。そのためAISASは「ネット上のAIDMA」と言い換えることもできるでしょう。

Dual AISAS|SNS時代の消費者行動モデル

Dual AISASの構成要素と仕組み

構成要素 縦軸
(購買行動)
  • A:Attention(注意)【認知段階】
  • I:Interest(購入への興味・関心)【感情段階】
  • S:Search(検索)【感情段階】
  • A:Action(行動)【行動段階】
  • S:Share(共有)【行動段階】
横軸(SNS)
  • A:Activate(活性化)
  • I:Interest(拡散への興味・関心)
  • S:Share(共有)
  • A:Accept(拡散された情報の受容・共鳴)
  • S:Spread(受容した情報の拡散)
派生元 AISAS
用途・特徴 インターネット上の情報の飽和とSNSの台頭による消費者行動の変化に対応するために生み出されたAISASの改良版。

Dual AISASは消費者のattention(注意・認知)を得ることが困難になったこと、SNSの出現と台頭によって、ネット上のコミュニケーションや情報収集のあり方がどんどん変化していることから誕生しました。

従来のAISASの5つのフェーズであるAttention(注意)、Interest(購入への興味・関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)にプラスして、横軸のActivate(活性化)、Interest(拡散への興味・関心)、Share(共有)、Accept(拡散された情報の受容・共鳴)、Spread(受容した情報の拡散)で構成される、「新たなSNSでのコミュニケーションを想定したプロセス」が想定されています。

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